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[語学留学]ILUNOプログラム

2019年8月~10月 人文社会科学部学生

  • 留学期間:2019/08~2019/10(8週間)
  • 学部等:人文社会科学部

■タイトル:ILUNOで得たもの
 私はこのILUNO留学を通して2つ得たものがあります。
 今回の留学では私たち静大生に加え、関西学院大学の学生も参加しており、思っていた以上に日本人がいました。日本人が多い分わからないことを日本語で尋ね合ったり、様々な情報交換がスムーズに行えたりして、そんなに不便もなく楽しく過ごすことができました。しかしその分日本語を話す機会が多くなってしまったため、英語の上達に時間がかかったし、帰国した今も「あの時頑張って英語を話す様にしていれば…。」と後悔しています。自分の思い描いていたほど英語を話せる様にはならなかったけれど、この留学で「声に出して伝えようとする力」はつけられたと感じています。これが1つ目の「得たもの」です。留学当初、ホストマザーと話をしたくても本当に声が出なくて、挨拶くらいしか交わせませんでした。正直ホストマザーとの接触自体を避けてしまうこともありました。このままではダメだと何度も思いましたが、「私の英語が間違っていたらどうしよう」、「伝わらなかったらどうしよう」などと心配をしてなかなか一歩を踏み出せずにいました。そんな時、私がアメリカに留学しているのを知って、国際結婚をして現在もアメリカに住んでいる知り合いから連絡がありました。その時の電話で英語が話せない悩みを相談すると、「文法がめちゃくちゃだろうがとりあえず言ってみることが大事」と教えてくれました。それを聞いて、初めて英語を話すということを気楽に考えられるようになれました。そしてその練習として、その知り合いの娘のケイティ(英語のネイティブで日本語も話せる)が週3~4のペースで1回1時間ほどの電話をしてくれることになりました。これは私にとってすごく良い練習になって、初めて電話した時は自分が聞き取れるか、話せるのかとても不安で怖かったけど、ケイティは私の返答を急かすこともなく、私が聞き取れなくてなんども聞き返しても嫌そうな態度一つせず、私の練習に付き合ってくれました。電話の回数を重ねるうちに、最初はボソボソとしか話せなかった私がしっかり声に出してはっきりと話せるようになりました。私が英語を声に出せるようになってきた頃、私は他の日本人留学生と一緒にGlobal Friends というイベントに参加しました。ケイティと練習を始める前からこのイベントには参加していたけれど、ずっと日本人で固まっていた感じでした。でも、その日は一人になって誰かに話しかけてみようと思って、すぐに日本人グループを抜けて、話をしてくれそうな人を探しました。その時、ある女性の方と目が合い話しかけてみることにしました。彼女はエイミーという名前で、そのイベントの間ずっと私の話し相手になってくれました。1時間半とか2時間くらい話したと思います。エイミーもケイティと同じようにすごく真剣に私の英語を聞いてくれて、私が聞き取れない部分は何度も繰り返し発音してくれました。この時、ケイティ以外の人と初めて、愛想笑いや誤魔化すことなく話をすることができました。ケイティとの電話も楽しいし、ケイティ自身もネイティブだけどハーフで日本語が話せるということもあって、話をする時何となく自分がハンデをもらっているような気がして、日本語を話せない英語のネイティブの人たちに自分の英語は本当に通用するのかという不安がありました。しかし、エイミーと話ができたことによって自分が本当に英語を話せるようになったという実感が湧いたし、それがわかった分緊張も不安もほとんどなくなって会話を楽しむことができました。この二人のおかげで英語を話すコツをつかむことができました。日本人学生はみんな文法とか語彙とかの知識面では他国の留学生に引けをとらないと思うし、英語を話すための知識は備わっていると思います。だからこそ、その知識に縛られすぎて話すのが怖くなってしまうのかなと思いました。この経験から他言語を話せるようになるためには知識に加え、「聞いてくれる相手」の存在が重要だなと思いました。私は来年中国への交換留学を控えていますが、英語で苦労して手に入れた「声に出して伝える力」はきっと中国語を話すときにも生きてくると思うので、この感覚を忘れないように準備をしていきたいと思います。
 2つ目は語学学習に対するモチベーションです。私はこの留学を通してできるようになったことや楽しかったことも多くありましたが、悔しい思いをする場面も多々ありました。友達と別々の会計にして欲しくて、思い切ってそれを伝えてみても全然伝わらなくて店員さんに「は?」って顔をされたり(そのときは「separate」という表現を知らなかった)、ホストマザーと話をしても私があまりにマザーの話を理解できなくて、マザーに「大したことじゃないからもういいわ」と会話を諦めさせてしまったり、思い返せばいくらでも出てきます。自信がなくなりすぎて一人でこっそり泣いてしまうこともありました。でも、それだけ苦い経験をすることができたのは留学を通して、実際に現地の人と触れ合ったからだと思います。多くの人は留学することで、語学力をつける、または留学さえすれば語学力がつくと思っていると思います。実際、私自身も留学に行く前はそう思っていました。しかし、留学が終わった今、改めて留学の意義を考えてみると、語学力を伸ばすことが全てではなく、留学を通して得た経験をいかに帰国後の勉強に生かすかだと思います。私はこの留学で自分の英語が上手く伝わらなくて悔しいという経験を得ました。この経験が今の自分の語学学習のモチベーションになっています。他にも自分は4技能の中で一番「話す」ができないということがわかったので、それを重点的に練習しようというように今後の学習の進ませ方を明確にすることができます。また、語学学習というカテゴリーにおいては英語も中国語も一緒なので、ここで得た経験を他の言語の学習にも生かすことができます。
 私はこの二ヶ月間で、英語をペラペラにすることはできませんでしたが、それでもたくさんの経験をして、たくさんの思い出を作ることができました。自分は英語できないから留学行ったって無駄などという人がたまにいますが、誰が行っても留学という経験は絶対無駄にはならないし、たとえ語学力がさほど上がらなくても、その経験を生かすことは日本でもできます。それにこのILUNOプログラムは時期によっては休学の必要がないため、交換留学など別の長期留学を考えている人はその準備として利用するのに適していると思います。私も来年中国へ1年間交換留学に行きますが、この留学で得られたものは次の留学にも生かせると確信しています。楽しい事ばかりではありませんでしたが、本当に貴重な経験をすることができました。

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