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交換留学

ロレーヌ大学(フランス)交換留学

  • 留学期間:2014年9月~2015年6月
  • 学部等:人文社会科学部社会学科

2015年 5月30日

 フランスに来てから10カ月、もうすぐ私の留学期間も終わりを迎えようとしています。このたびは、大学とそこでの学習、フランスという国で留学することの魅力を綴りたいと思います。

【ロレーヌ大学と勉強について】
 ロレーヌ大学は、フランス北東部ロレーヌ圏にある理系、文系の大学と情報系の専門学校が統合された、総合大学です。私の通っているキャンパスは、哲学、社会学、歴史学、音楽学、言語文化学などといった多様な学科があります。

 私は、このキャンパス内にあるDEFLEという語学学校でフランス語を学んでいます。語学学校は、グループが7段階に分けられており、各グループ15~20人ほどです。生徒は学生だけでなく、パティシエや弁護士、専業主婦といった社会人も多いです。各大陸から来た多様な国籍の人がフランス語を学んでいますが、日本人の割合は少ないように思います。そういった面でも、ナンシーは、フランス語を学ぶのに適した環境だと言えるでしょう。
 授業は1コマ2時間、全てフランス語で行われます。文法、会話といったフランス語の基礎を学ぶ必修科目が週12~14時間ほど、選択科目が週6~8時間の計20時間です。大学の専門授業も、興味があれば聴講することができます。高度な専門用語がたくさん使われるので、内容を全て理解するのは厳しいですが、日本の大学とは異なる教育システムを体験することができます。

【フランスという国、その魅力】
 フランスは、物価が高いと言われており、確かにその通りなのですが、芸術分野に関しては国民皆が気軽に親しむことのできるシステムが整っています。例えば、フランスでは第一日曜日は全ての美術館が無料になります。また、一部の美術館は、EU所属の26歳以下の学生にいつでも無料で公開しています。世界的に有名なあのルーブル美術館も、学生証をみせるだけで簡単に入れてしまうのですから、驚きです。それから、年間を通して、芸術系に関するイベントは非常に多いです。私の住む街ナンシーでは、9月に大きなJAZZフェスティバルが開催されました。もう少しで夏になりますが、この季節は南仏を中心に、野外コンサートや演劇が毎夜のごとく無料で催されるそうです。もちろん、特定の時期に限らず、日ごろから芸術に関する催しはたくさんあります。このように、市民が気軽に芸術に触れることができるのが、フランスが「芸術の国」と称される所以でしょう。
 また、フランスはバカンス(長期休暇)が多いです。これらのバカンスを利用して、私はヨーロッパやフランスの様々な地域を旅行しました。なかでも、一番の思い出は、モロッコでの滞在です。以外に思われるかもしれませんが、モロッコではフランス語が第二言語なので、国民の大半はフランス語を理解します。ヨーロッパとは全く異なる文化を体感できただけではなく、フランス語を使って現地の人と会話を楽しめたのも、こちらでフランス語を学んでいる今だからこそだ思います。言語の知識が一つ増えると、新たに世界が広がるということを身を以て実感したひと時でした。

 最後に、フランス人は、議論をすることが大好きです。これは、もはや国民的文化ともいえるほどで、テレビ、ラジオ、食事の席でも常に議論をしています。そのため、語学学校の授業においても、個々の意見を求められることが多いです。また、意見を述べたら、次にPourquoi(なぜ)を問われます。なぜそのように考えるのか、なぜその結果が生まれたのか。この問いかけが、フランス人は慣れていて、幼少期からesprit crithique(批判的精神)を鍛える教育を受けています。日本の教育との大きな違いは、ここにあるのではないかと私は思います。

 この留学期間は、本当にあっという間でした。紙面の都合で、私の経験全てを綴るとはできませんが、人生で一番、自分のしたいことに取り組み、挑戦した期間であったと思います。もちろん、日本から離れた土地で生活をする、というだけで学ぶことも多いですが、その生活にどれだけ深みを持たせるかは、自分次第だと改めて感じました。
 留学することの最大の力。それは、やはり自分の目で見て、感じることでしょう。当たり前のことですが、どんな情報も、紙面や人の話を通して得たものと実際に体感するのとでは、何倍も違います。その違いや素晴らしさを身を以て体感できるのが、留学することの最大の醍醐味ではないでしょうか。帰国後も、この実体験することの素晴らしさを少しでも多くの人に伝えることができたら、と思います。

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