静岡大学国際連携推進機構

在学生
の方へ

留学プログラム

交換留学

リガ工科大学(ラトビア)

  • 留学期間:2022年8月~2023年6月
  • 学部等:工学部

【授業】

 秋学期は専門科目を5科目,ラトビア語講義1科目の合計6つ,春学期は専門科目を6科目,ラトビアについての講義1科目の合計7つ,年間通して13個の講義を受講しました.新型コロナウイルスの影響はほとんどなく,ほとんどの授業が対面で行われました.基本的には自分が派遣された学部の講義,私の場合は機械・運輸航空工学部の講義のみしか受講することができませんでしたが,ラトビア語の授業やラトビアの歴史や文化に関する授業は留学生全員が受講することが可能です.各講義の時間が重なっていなければ,自分の好きなだけ講義を受講することができます.先生の講義を聞く授業もあれば,実験を行う授業もありました.留学中驚いたのがヨーロッパでは「オートパス」システムが採用されていることです.日頃行われる小テストや課題をきちんとこなしていれば,学期末にあるテストを受けることなく単位をとることができます.オートパスに合格できるように日頃から勉強する習慣が付いたのでよかったです.また,理系の学部というと実験やレポートのイメージがありますが,リガ工科大学の授業ではグループワークやプレゼンテーションが多くあります.今までプレゼンテーションの経験がなかったので,みんなの前で英語でプレゼンを行うことは緊張しましたが自信が付きました.


写真1 授業のプレゼンテーションの様子


写真2 大学の建物

専門科目で留学をするとなると一番の心配点は英語で行われる授業にきちんと追いつけるのかということだと思います.私はほとんど専門用語の英語の知識なく留学に向かいました.もちろん専門用語を学ぶのは大変でしたが,毎日コツコツとその日に勉強したことを復習するのを繰り返したら自然と身についていました.英語でレポートを書く機会は日本ではあまりないと思います.とても良い経験になりましたし,英語でのレポートの書き方を身に着けることができました.本や映画では学べない生きた英語を体験でき,それを身に着けられるのは留学の良い点だと思います.授業数が少なかったので,自由時間は多くありました.空いた時間はキャンパス内には大きな科学図書館がありますし,カフェも近くにあったので自主学習を大切にしていました.そこでの出会いも沢山ありました.私は静岡大学で学んだ科目と,リガ工科大学でしか学べない科目をは半分半分で履修しました.1,2年の頃に習った内容を復習しつつ,IT産業が発展しているバルト三国であるからこそ学べるソフトやプログラミングを新たに学ぶことができました.


写真3 授業の実験の様子

【住居】

 私は大学が経営している寮への申し込みが遅く,前期の間は寮に入ることができませんでした.留学を決めた皆さんにはVISAの取得にも住居先の提出は必須項目となるので,一番最初に滞在先を確保することをおすすめします.

 寮に入ることができなかった秋学期は,渡航前にFacebookを利用して学生ホステルを見つけました.Facebookを使うと,ルームメイトを探している人や同じく部屋を探している人,知り合いになりたい人など,渡航直後の知り合いを作ることができます.自分で一から決めたい方にはこの方法はお勧めだと思います.結果,私は1フロアを3人で共用のシングルルームを大学からやや離れたところ(リガ新市街・徒歩40分)に借りることができました.家賃は大学寮よりもかなり高く,520ユーロでした.ですが,入り口の二重の番号ロックや,フロアと自分の部屋への2か所の鍵が部屋には自分専用のバスルームが付いていたので,静岡で一人暮らしをしていた私にとっては非常に暮らしやすい部屋でした.洗濯機と乾燥機がフロアに1台ずつ設置されており,週に1回程度使用していました.ラトビアでは服を外に干す習慣がないので乾燥機がある物件を探すと便利だと思います.部屋にはエアコンはついておらず,オイルヒーターで暖をとります.大学から離れたところに部屋を借りる良いところは,同じ大学以外の友人が多くできることだと思います.実際に私のルームメイトは違う大学に通う学生でした.また,世界遺産に登録されているリガの旧市街にとても近いため,通学路としてその街並みを散策することができ,様々な景色を見ることができました.


写真4 最初に住んだアパートの部屋

春学期は大学のキャンパス内にあるKipsala寮で暮らしました.1ブロックの中にダブルルームが3つあり,同じブロックに住む最大6人でキッチン,バスルーム,トイレを共用で使用します.同部屋は女性の方でしたが,他の部屋に住む4人は男性でした.部屋を出るとフラットメイトに会え,話ができるので寂しい気持ちは全く感じませんでした.フラット内でそれぞれの国の料理を披露しあったり,一緒にお酒を飲みに行ったり,夜までゲームをしたりと楽しい時間を過ごしました.英語を上達させるには,誰かとルームシェアをするのが一番の方法だと思います.寮にはカードキーを,部屋へは鍵を使用し,1階の受付には24時間スタッフが待機しているのでセキュリティは完璧だと感じました.建物ごとに共用の洗濯機が1回3ユーロほどでネット上で決済し使うことができます.共用エリアも広く,清潔なので不満は全くありませんでした.キャンパス内にあるので,雪が常に積もっている秋から春にかけては通学が非常に楽でした.人気ではありますが,シングルルームもありますし,旧市街の近くにある寮など複数の寮から選ぶことができるので,休みの日にどのように過ごしたいかによって住む寮を選択できます.  どちらの住居もWi-Fiが設置されていたため,インターネットの心配はありませんでした。


写真5 Kipsala寮の外観と部屋

【食事】

 Rimi,Maximaといった名前のチェーン店のスーパーマーケットが市内に沢山あります.大学が市街地に近いため買い物には困りませんでした.大学横にはショッピングセンターがあるので,食品だけではなく服や家具も買うことができます.スーパーにはお米や日本食も少しですが売られています.お惣菜もあります.野菜や果物はほとんどが量り売りで,日本よりも安いです.アジアンスーパーに行けばカレールーやみりんもありますが,4倍ほどの値段でした.粉末だしなどは日本から持っていくのがオススメです.私は基本的には自炊をしていました.しかし,現地の料理も楽しみたいと考えていたので週に1度は外食をするように決めていました.マクドナルドやケンタッキー・フライド・チキンのようなチェーン店の値段は日本と同じか,それよりも安い印象を受けましたが,レストランは日本よりもかなり高額だと感じました.バーにあるお酒の値段は日本よりも安く,沢山の人と交流ができるので楽しかったです.ヨーロッパ最大級とも呼ばれているRiga Central Marketでは新鮮な食品が買えたり,伝統の編み物が買えたりできるので1度は訪れてみてほしいです.食ではなくなりますが,トラムという路面電車で30分の所に大きなショッピングモールがあり,バスで40分の所にIKEAもあるので,服や家具を買いに行くことができました.


写真6 大学横のショッピングセンター

アジア圏からきた友人はパンを食べていたり,ヨーロッパ圏からきた友人はパスタを主食として食べていました.Riga Black Balsamというラトビア国内でしか購入できないお酒もあります.冬には「凍死しないためにお酒を飲もう」という言葉があるほどラトビアの方々はお酒を沢山飲む印象があります.


写真7 地元の人々が集うレストラン

【気候】

8月末の現地に到着した際は気温が30℃を超えていました.しかし,夜には10℃台になるので薄い上着を着ていました.9月に入ると一気に気温が下がり,9月末にはダウンジャケットを着ていました.11月頃には雪が降り始め,4月中旬までは雪が降っていたと思います.冬至近くの季節は10時頃に明るくなり始めたと思えば15時には暗くなっているという,どんよりとした毎日を過ごしました.私は最低でもマイナス10℃の日を体験しましたが,日本から持って行ったヒートテックとタイツを服の中に着ていればギリギリ短時間なら外で過ごせました.荷物になると思ったのでダウンジャケットは現地で買いましたが,これは正解だったと思います.スノーブーツは買ったほうが暖かく便利だと思います.室内にはヒーターがあるので,薄手の長袖の服時には半袖の服で過ごせます.日本ではスキー場でしか使わなかった耳当てやニット帽はラトビアの冬では必要不可欠でした.夜にどれだけ雪が降っても,朝の通勤通学の時間までには雪かき作業が終わっているのが毎日面白いなと感じていました.


写真8 冬の大学キャンパス・市街地の様子

5月上旬からやっと春が来たなという気候になりましたが,朝夜は薄いコートが必須でした.夏至が近づくと逆に4時には明るくなり22時までずっと明るい毎日でした.ヨーロッパ全体が日本よりも日が昇っている時間が長いそうです.冬は長時間睡眠でしたが,夏は外が明るくなってしまうので自然と短時間睡眠になっていました.6月は気温が30℃近くにまでになりましたが,日本ほど湿度が高くないので,とても過ごしやすかったです.私は暑がりな方だったのですが,持って行ったハンディファンを室内で使っていれば冷房なしでも大丈夫でした.


写真9 夏のリゾート地の様子

【文化の違い】

 文化の違いは多くの場面で感じました.ロシアとの歴史的な影響で街にはロシア正教会があったり,ほとんどの人がラトビア語とロシア語,英語を話せるトリリンガルが多く,他のバルトの国から移住してしてきている人とコミュニケーションが簡単にとれるので,ロシア語がメインで話されている印象を受けました.ロシア語を学ぶと,現地の人とより深い関わりを持つことができると思います.ヨーロッパは小さい国々が集まって構成されています.それが関係しているのか,ラトビアの人々もヨーロッパから留学に来た友人たちも皆出身国に誇りを持っていると感じました.ラトビアの独立記念日や祝日には店を閉め,会社を休み盛大にお祝いをします.日本では祝日を祝う文化があまりないので新鮮でした.クリスマスや夏至といった自然に関わる行事を大切にしています.国土の約55%が森林でこれは年々増えていっているそうです.自然に感謝し,みんなで一晩中ダンスをする夏至祭はとても楽しかったです.また,ラトビアにチップ文化はあまりありませんでした.とても大きな「歌と踊りの祭典」が5年に1回開催されており,昔から伝わる歌を全員が歌っている姿は圧巻でした.


写真10 クリスマスマーケット・独立記念日・ラトビア伝統料理の食事会

【現地での生活環境・街並み等】

 バルト三国ではIT化が進んでいると言われているように買い物の際はほぼカードを使用していました.日本では現金を使用していたのでキャッシュレス文化は楽だと感じました.失くした時やスリに遭った時のためにクレジットカードは2枚以上持っていくといいと思います.大学に公式な書類を提出する際も全てオンライン上で手続きを行います.友人の多くがスマートフォンにクレジットカードを登録しておき,買い物やご飯に行く際はスマホ一つで出かけていました.とてもスマートだなと感じましたが,スマホが壊れた時や失くした時に大変だろうなと思います.現金を拒否されるお店は滅多にありませんが,100ユーロや50ユーロ札はおつりがないと断られることが多かったです.

 ヨーロッパに滞在するとなると不安になるのがスリだと思います.私の印象では,他のヨーロッパよりもラトビアは治安が良いと感じました.しかし,かばんから目を離さない,スマホや財布を席に置きっぱなしにしない,カバンはきちんと閉めておくなど基本的なことには注意してください.

 先ほども述べたようにラトビアは1年を通して気候が大きく変化します.明るい時間が長くなる夏には,お昼から公園でピクニックをしたりレストランでお酒を楽しむ人が多くのんびりした雰囲気を感じました.季節によって人の過ごし方がかなり違うなと感じました.

 リガの旧市街は世界遺産に登録されています.大学からはDaugava川という大きな川を橋を使って渡るとすぐに遊びに行けることができます.旧市街の中は自動車の通行できる量が制限されているため,散策にぴったりな場所です.また,バルト三国には大きな山がないので高い建物に登れば遠くの方まで景色が見えます.日本とは大きく違う景色が楽しめると思います.6月は晴れの日が多いので,夕日が毎日綺麗に見えていました.また,数年以内にバルト三国を中心にフィンランドからポーランドまで高速列車で結ぶ「Rail Baltica」というプロジェクトが進んでいます.


写真11 リガ旧市街


写真12 国際的なマラソン大会が開催されたときの様子


写真13 サッカーワールドカップが開催されているときのスポーツバーの様子


写真14 学生主催のイベント

【今後の課題】

 留学を終えて言えることは「視野がかなり広がった」ということです.様々なことに挑戦をしてきました.留学前にはできなかったことが留学後は当たり前のようにできるように知らないうちになっていました.3年の後期ということで,また新たな人生の選択をしていく時期になってきました.留学前よりも広い視野で自分の将来を考えることができている気がしています.また,残りの学生生活でしかできないことに沢山挑戦していきたいと考えています.ラトビアという日本から遠く離れた国の良さを皆さんに知ってもらうような取り組みもしてみたいです.


ページの先頭へ