静岡大学国際連携推進機構

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留学プログラム

交換留学

リガ工科大学(ラトビア)

  • 留学期間:2019/08~
  • 学部等:総合技術科学研究科(工学専攻)

 留学してからまだ2ヶ月程度しか経っていませんが、皆さんにとって今後の参考になればと思うことを紹介します。実は個人的に北米地域には全く興味がなかったのと、英語圏ではない国(特に北欧圏)に留学したいとかねてから考えていました。また大学院生なので出来れば、現地で研究を継続的に行っていきたいとも考えていました。そうした中で私を受け入れてくれる先生がリガ工科大学にいたことから、こちらの大学に入る流れになりました。

・言語
 言語は多くの場所でラトビア語が使われていますが、中にはロシア語で話す人もいたりします。私の先生も家族と話すときはロシア語だったり、リトアニアから技術者の方が来訪されたときは、英語になったりロシア語になったりと不思議な感じでした。ちなみにほとんどの場所で英語は通じると思います。ただ一度、市内の公共交通パスを取得する際に、窓口の方が年配の女性でどうしても英語が通じず、後ろに並んでいた若い女性の方に通訳をしてもらいました。多くの留学生がここに訪れているので、日本よりは確実に英語は通じると思います。私のなんちゃって英語でも通じているので、皆さんも安心して過ごせるのかなと思います。

・住むところ
 現在はRTUのKipsala地区にある寮で生活をしています。大学の敷地内に寮があるので、授業の10分前に部屋を出れば大体間に合います。寮の値段は一ヶ月180ユーロ。一つのフラットに2人組の3部屋あり、キッチン、トイレ、シャワールームを6人で共有しています。私のルームメイトはトルコ人の博士課程の学生です。同じ工学系なので、たまにそういった内容のディスカッションもしたりして過ごしています。寮の中はWifiと有線LANが設置されており、インターネットについて不便はないです。
 着いて困ったことが一つありベッドはあるけど、シーツも枕も掛け布団も何もなかったことです。疲れて着いた矢先にこれには困りました。すぐにIKEAに駆け込んですべて揃えました。ちなみにシーツは毎月数ユーロ払えば寮の方から交換してもらえるみたいですが、10ヶ月住むにはもったいないので自分で買いました。
 寮にはクレジットカードで支払いができる、洗濯機と乾燥機があり大体1週間程度でまとめて洗濯をしています。料金はそれぞれ2ユーロ前後で利用できます。アドバイスとして痛みやすい洋服などある場合は「洗濯ネット」を日本からある程度持って行くと役立ちます。荷物としてかさばりにくいですし、ここでは中々見つけにくいので是非。

・お金
 ラトビアは2000年代にEUに属することになり、2014年からはユーロが導入されています。物価の違いなどは、Cost of Livingと検索すると物価を比較できるサイトがあるので参考にするといいと思います。感覚的には日本と同じか安いかなと思います。とはいっても留学にはお金がかかるので計画的に貯金をすることと、奨学金がいろいろとあるので調べて準備しておくことをおすすめします。私はトビタテに採択されたのもあり、金銭的に余裕をもった留学生活を行うことができています。
 基本的にはどこの場所でもクレジットカードで支払いをすることが可能です。現金が必要な機会といえば、友人たちとレストランに行って別々に会計が出来ないときと、有料トイレくらいかなと思います。多くの自動販売機ですらカードでの決済ができるようになっています。クレジットカードの海外キャッシングサービスを有効にしておけば、こちらのATMでユーロを引き出すことができるので渡航前に確認しておくことをおすすめします。大学に対する支払いでは銀行振込を要求されるので、TransferWiseを使った送金が一番シンプルかなと思います。ただ渡航前にマイナンバーの提出などがあるので、事前に確認をおすすめします。

・研究
 こちらの大学では受け入れ先の研究室の研究者の方と共同研究を行っています。日本から持っていたサンプルを用いて実験も行っていますが、同時に受け入れ先の研究も行っています。また日本では測定機器の経験もあったので、他の研究室から依頼されたサンプルを測定するなど幅広く研究活動を行っています。そうした中で研究成果に名前を入れてもらうこともあり、こうした経験は今後と糧になると感じています。英語で結果についてディスカッションする機会も当然多くあるので、日本にいるうちから論文を読んだりして語彙を増やしておくことは大切です。
 研究スタイルは日本にいたときは、朝から夜まで行う日々が多かったですが、ここではある程度集中して夕方の5時頃には終わらせるようにしています。どうしても測定などに時間がかかるときは少し遅くまで行うこともありますが、基本的には時間を意識して行動しています。ヨーロッパ型の生活に慣れてくると、いかに効率よく作業を進めるかという大切さに痛感しています。

・イベントに参加すること
 視野を広げるために大学での授業の他に何をするかというのが一番考えさせられます。国内外に旅行を広げることもいいですし、友達と何か一緒に活動するというのもいいかもしれません。ここで私にとっての答えはイベントのボランティアに参加するということです。
 ここラトビアを含むBalticからNordicにかけて起業というマインドが非常に発達しています。ある意味ブームと言ってもいいかもしれません。11月下旬に、フィンランドのヘルシンキで行われたSlushと呼ばれる起業イベントのボランティアに参加してきました。私自身は起業に対しての意欲はあまりないですが、イベントでは今の世間のニーズや課題、そして今後のテクノロジーの向かう先などが議論されていました。私のボランティアチームでは、イベント内でのインフォメーションデスクの運営であり、参加者からの質問に対しての案内などを行いました。1チーム10人ほどで構成され、主にはフィンランドに留学できている学生が多かったと思います。普段の大学生活だけでは経験できないことが多く、特に英語を使ってイベントを運営する立場というのは非常にいい経験になりました。また、空いた時間を使ってプレゼンテーションを見ることや、ブースを回って参加者らと会話をすることで新しい知識を得ることができたと思います。

・留学ってするべきなのか
 留学体験記に書くべきか迷いましたが、違った視点から書き残します。他の国立大学では海外留学を必修化するというニュースや、ある奨学金の募集ポスターには「留学したことを後悔している人に会ったことがない」という記載を目にしました。留学や海外生活が自分に合うかどうかは人によって異なります。留学して精神的に参った人の話も聞いたことがあります。何が言いたいかというと、留学経験がプラスになるかマイナスになるかは分からないです。私は必ずしも留学をすべきであるという意見は持っていないです。私から留学したいと考えている人に伝えたいことは、留学前に目的をはっきりさせておくことが大切です。私の場合なら「日本で経験してきた研究経験が海外のラボでも通用するだろうか」を考えていました。ただ漠然と海外に行って生活してみたいというのも結構ですが、移住や正規留学と違って交換留学の場合は滞在できるのは最長でも1年間です。さらに到着してから現地の生活に適応するまでの時間を差し引いたものが、実質的に活動した価値的な時間になると考えています。この時間は人によって様々だと思いますし、私のように適用時間がほぼ0のような人もいます。これは私が凄いと言いたいのではなく、そのためにヨーロッパの生活について現地の外国人の友人と事前に話したことなど、渡航前から海外生活についてそれなりに準備ができていたことによるものだと考えています。
 決して海外生活はユートピアのようなものではないです。偉そうなことを書いている私ですら落ち込む日は多々あります。また留学にはかなりのお金もかかるので、それに見合った成果を得られるかどうかも事前にどれだけ準備・計画をできるかにかかってきます。例えばトビタテの場合は採用されるためには、留学計画を事前にまとめ書類選考を通過し、面接審査に合格する必要があります。その厳しい選考プロセスを通過しトビタテに採用された人の中にも、当初の留学計画を行うことができていない人もいるくらいに留学はシビアです。留学計画がうまくいきそうもないときに、計画の修正を行うことができればその経験は必ず今後に生かせると思います。現地で積極的かつ自発的に行動することができれば、その留学にはお金以上の価値が得られるのではないでしょうか。

・最後に
 これを読んで留学に興味を持ち、また今まで以上にその意欲が大きくなった人がいればうれしいです。留学計画は人それぞれなので他人に左右される必要はないです。挑戦したいことに対して信念を持って頑張ってください。

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