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留学プログラム

交換留学

マサリク大学(チェコ)

  • 留学期間:2021年10月~2022年6月
  • 学部等:教育学部

【授業】

マサリク大学では開講されている授業の数がとても多いです。履修登録の際にいくつか条件を重ねて絞り込みをしないと、表示される授業のシラバスが100件を超えたりするほどです。大きな教室での講義型の授業ももちろんありますが、日本の大学よりも少人数クラスが充実していると感じます。加えて、マサリク大学への留学生は所属学部に関係なくどの学部の授業でも履修することができるので、静大では学ぶことのできない分野まで幅広く、自分の興味があることを学ぶことができます。これから留学される方は、きっと参加してみたい授業がたくさんありすぎて、どれを泣く泣く諦めるか悩むことになるでしょう。私の場合は、専門である教育分野の授業+その他の学部の授業+日本語教育に関する授業を履修しています。たとえば教育学部の授業では、チェコと母国との教育制度を比較するという授業を秋学期に履修し、それを受けて春学期には、小学校を訪問しチェコの学校の生活や授業を参観するという授業を履修しています。他の学部、例えば教養学部の授業では、世界のニュースを国際的な視点で話し合うという授業や、イギリス映画を観てその背景にある社会について考えるという授業を履修しています。私が履修している授業のほとんどは少人数クラスのもので、生徒は15~20人です。しっかりと内容に集中でき、アットホームな雰囲気で発言もしやすいため、私は少人数クラスが好きです。また、マサリク大学には日本研究という学科があり、日本語や日本について勉強しているチェコ人学生がいます。私は日本語を海外で教えるということにも興味があったため、その授業に会話練習相手として参加したり、今学期は少しだけ授業も行ったりしています。これだけ欲張った結果、授業は一日だいたい2~3個と少し忙しくなってしまったのですが、学びたいこと、やりたいことを詰め込んだ時間割なので毎日の授業を楽しみに大学に通っています。

【住居】

マサリク大学は学生用にいくつかの寮を提供しており、場所・一部屋の人数・共用スペースの度合いがそれぞれ違います。私もその中の一つ“kounicova”という寮に住んでいます。この寮は基本的に二人部屋で、トイレ・シャワーは隣の部屋の人と一緒に4人で共用、キッチンはフロアに一つです。他人と設備を共用することに対してあまり良いイメージがない人も多いと思いますが、世界中に友達をつくりたい!という思いで留学する私たちにとって、共用スペースはこの上ない出会いの場です。私はチェコでできた友達の半分以上は同じ寮で、キッチンやスタディールームなどの共用スペースで出会って知り合った友達です。キッチンはとくに出会いの多い場だと感じていて、「何作っているの?」と話しかけさえすればすぐに友達になれます。実際、設備を共用することは不便ではあるのですが、それよりも他の学生との交流の場が増えるというメリットの方が大きく感じます。結局、その不便さには1ヶ月もすれば全て慣れてしまいますし、そのおかげで安く住むこともできているので今の生活には満足しています。寮費(家賃)は1ヶ月で2万円強くらいです。

私のルームメイトはロシア人の大学院生です。最初の頃は考え方の違いなどもあってお互いの行動が理解できず口論になったこともありましたが、今では信頼関係が築けて良い雰囲気を保つことができています。最近は夜にその日の出来事について話したり、勉強に疲れたら一緒にダンスをしたりと楽しい毎日を送っています。常に気遣う相手がいるのでもちろん大変なこともありますが、これも留学でしかできない良い経験だと思っています。

寮の友達とはクリスマスパーティー、年越しパーティーも寮で行いました。クリスマス仕様にデコレーションした私たちの部屋に友達が集まってくれたときは本当に嬉しかったです。良い思い出になりました。


【食事】

友達とカフェやレストランに行くことが多いです。チェコにはおしゃれなカフェやレストランがたくさんあって、味も本当においしいです。レストランはハンバーガーやピザなどがやはり多いですが、なぜかベトナム料理店とケバブ屋さんも負けないほどたくさんあります。中にはインドカレーのお店やモンゴル料理店などもあって、バラエティーは豊富だと思います。どの飲食店でも共通することですが、日本と比べて値段は変わらないか少し安いくらいなのに、量がかなり多いです。そのため、外食した日は寮ではそこまでしっかり自炊する必要はありません。それ以外の日はパスタやチャーハンなど簡単な自炊はしますが、なかなか野菜を取るのが難しいので、外食するときになるべく野菜が含まれたメニューを選ぶよう意識しています。日本食は時々恋しくなるので、他の日本人留学生と集まって一緒に日本食を作って食べるという会を定期的に開催しています。

スーパーのものの値段は基本的に日本とほぼ変わらないですが、果物は安めで、パンはとても安いです。そして何よりビールが本当に安くておいしいです!500mlの缶が100~150円くらいで買えます。売られているビールの種類も豊富なので、これからチェコに留学される方もビールの飲み比べを楽しんでみてください。

そんなビールに合うようにつくられたチェコ料理もとてもおいしいです。私が一番好きなのはタタラークという料理で、ガーリックを擦り付けたトーストに生の牛肉をのせて食べます。他にもスヴィーチコバというパンをソースにつけて食べるものや、直訳すると“揚げたチーズ”であるスマジェニーシールなどといったチェコ料理があります。レストランによって味が違うので、チェコ料理の食べ比べもおすすめです。



【気候】

到着したばかりの10月頃は天気の良い日が多く、毎日雲一つ無い快晴だった記憶があります。11月になって気温が下がってからは曇りの日が多くなりました。ですが雨は本当に少なく、チェコに来てから傘が必要なほどの雨が降ったことはないです。11月末に初雪が降り、それからは何度も雪が降りましたが想像していたほどではありませんでした。暖冬なのもあり、チェコ人の友達が今年は雪が少なかったと言っていました。今(3月)はまた晴れの日が多くなったように感じます。

気温は日本と比べて低く、寒いです。日本で冬というと私は12月から2月をイメージするのですが、チェコでは11月から3月といった感じがします。特に寒かった時期は、真冬のコートやダウンに、マフラー、手袋と足首が隠れるブーツがマストでした。3月現在、以前と比べるとかなり春に近づきましたが、風が冷たく冬物の上着を着ていないとまだ寒く感じます。それでも室内は常に暖かいですし、長時間外にいなければいけないシチュエーションもないので、ある程度の防寒をしておけばそこまで寒さを心配する必要はないと思います。

【文化の違い】

文化の違いについて一番感じたのは新型コロナへの対応です。日本では、強制する規制など特に無いのに全員マスクをしていて、感染者が増えればすぐに規制がかけられます。ニュースでも連日コロナについて報道され、個人としてもコロナに対して配慮することがある種のマナーのようになっていると感じます。一方チェコでは、日本と比べものにならない程の感染者が出ているのに、規制が強化されると皆ガックリという感じで、規制は最低限守ればいいといった様子です。例えば屋内でのみマスク着用義務ならば、皆トラムを降りると同時に、建物を出ると同時にマスクを一瞬で取ります。旅行も特に制限されていなかったので、ヨーロッパを飛び回って旅行している留学生がたくさんいましたし、それを非難する人もいません。チェコ人や他の国の留学生からすると、日本人が外食や旅行の「自粛」をしていることなど考えられないと思います。あまり上手な表現ができませんが、日本人は自分が犠牲になっても社会全体に協調しようとするのに対し、チェコ人含めヨーロッパ人は社会全体の前にある程度個人の自由を優先するような気がします。

もう一つ驚いたことは、クリスマスと年末年始の過ごし方が日本と正反対なことです。チェコ人にとってクリスマスは家族とゆっくり過ごす時間であり、スーパーも2.3日ほど閉まります。大晦日は友達とパーティーをし、花火をしながら年越しの瞬間を迎えるのが普通だそうです。そして1月2日からは通常の生活に戻り、年始が休暇期間だという雰囲気はありませんでした。

チェコ人はクリスマスが大好きで、毎年クリスマスシーズンを心待ちにしているそうです。11月下旬からすでに街はクリスマス一色になり、より一層外を歩くのが楽しくなります。クリスマス当日には家族とプレゼント交換をしあい、家族でツリーを飾り付けたりクリスマス料理を食べたりするそうです。私はクリスマス期間に2人のチェコ人の友達のお家に遊びに行かせてもらったのですが、どちらの家族もチェコのクリスマス文化について教えてくれたり、伝統のクッキーや食事をたくさんふるまってくれたりと、とても温かく私を迎えてくれたので本当に幸せな時間を過ごすことができました。同時に、家族を大切にしながらクリスマスを楽しむ雰囲気がすごく伝わってきて、チェコのクリスマス文化が大好きになりました。


【現地での生活環境・街並み等】

マサリク大学はブルノという、首都のプラハに次いで2番目に大きい都市にあります。とは言っても規模は小さく、静岡と同じくらいだと感じます。シティセンターと呼ばれる街の中心部にお店や駅、その他様々な機能が集結してコンパクトにまとまっています。生活に必要なものは全部ここでそろえることができますし、ある程度のものは探せば手に入ると思います。また、トラムやバスといった交通網がとても発達しているので、ブルノの中なら公共交通機関でどこへでも行くことができます。寮からシティセンターもトラム1本で簡単に行くことができます。シティセンターでは常にトラムが行き来しているほど本数も多いです。そしてチェコは、外国にいるとは思えないほど治安が良いです。これまでチェコで危険な思いをしたことはなく、夜でも住宅地に入ったりしない限り暗くて怖い通りなどはありません。日本と同じような防犯意識を持っていれば危ない目に遭うことはないと思います。

チェコの街並みは「まるで絵本の中」と言われているほど本当に綺麗でかわいいです!中世から残る赤い屋根のレンガの建物が並び、太陽の光に反射して輝いている中を歩くとディズニーランドの中にいるように感じます。特にプラハは格別に綺麗です。ブルノはとっても綺麗というわけではないかもしれませんが、シティセンターにはレンガでできた建物が多く、一年中行われている夜のライトアップは雰囲気があって私は好きです。

チェコ人は優しくて親切な人が多いとも感じます。チェコに来たばかりの頃、トラムにベビーカーを乗せようとする人をすぐに周りの人が手伝う場面は印象的でした。私自身困っているときに助けてもらったことも何度もあります。日本では外国人が困っているとき、すぐに声をかけられる人は少ないのではないでしょうか。他にも、店員さんがフレンドリーに話してくれたり、私がチェコ語を話せないとわかると一生懸命英語で伝えようとしてくれたり、カフェで隣にいたお客さんと待ち時間にお話したりと、あたたかい人々の中で生活しているような感覚があるのも私は好きです。

【今後の課題】

私はビザの取得に時間がかかり1ヶ月半ほど留学開始が遅れてしまいました。そのせいで前の秋学期は満足できる大学生活を送れなかったので、今学期は秋学期の分も取り返すつもりで大学の授業を頑張りたいです。周りに色々な国からの留学生がいて常に英語を話す環境にあること、大好きなチェコに住めることも残り4ヶ月を切りました。「迷ったらとにかくやってみる、何でも挑戦!」という姿勢を意識してきたのですが、当初と比べて最近は怠けてしまっていると感じることもあります。もう一度その気持ちを持ちなおして、残りの期間もここでしかない素敵な出会いと今しかできない貴重な経験を楽しんでいきたいです。



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