静岡大学国際連携推進機構

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留学プログラム

交換留学

マサリク大学(チェコ)

  • 留学期間:2021年9月~2022年6月
  • 学部等:教育学部

【授業】

高校生活を経て学部選択等の進路選択をする時点で、その後の学びの方向性はある程度定まってしまいますが、その選択に100%の自信を持っている人はどれほどいるでしょうか。もし、ほんの数%でも他の自身の将来の可能性に対し貪欲に在りたいのであれば、交換留学は十分に現実的な選択肢の一つになると思います。マサリク大学では、留学生は学部を超えて自由に授業を履修することができるため、私は所属学部である教育学部以外にも社会学部や芸術学部、スポーツ学部などの授業を履修しています。こうした仕組みは、これまで私が学んでいた環境がある程度選択肢が制限されたものであったことを自覚させ、幅広い選択肢の中で頭を悩ませながら自身の興味関心に今一度心を傾ける機会を与えてくれました。自身の専門とする学問分野を追求するという目的のみならず、大学入学後に新たに芽生えた興味関心に沿いながら、充実した環境のもとで専門的に学ぶことができる交換留学が秘める可能性は非常に大きいものがあると私は考えています。

【住居】

大学寮に関しては各々その特徴は異なるので、交流機会の有無や設備、自身が通う学部等へのアクセスの良さなど、自分で優先順位を考えて寮を選ぶことが望ましいです。しかし、途中で他の寮に移ることも可能なので住居に関して深く悩む必要はないと思います。参考程度に私が住んでいる「Vinarska」寮について紹介します。Vinarskaは基本的にはどの部屋も二人部屋であり、プライベートキッチンとバスルームが唯一備わった寮です。それ故に、キッチン等を共同で使用する他の寮と比較すると閉鎖的な雰囲気があります。それは寮内で交流の幅を広げたい人にとって大きなディスアドバンテージになります。私は約5ヶ月の間にノルウェー、イタリア人のルームメイトと出会いましたが、寮内での交流は基本的にはルームメイトとのみでした。しかしながら、互いの国の料理を振舞い合ったりしながら密度の濃い時間を過ごすことができ個人的には満足しています。また、寮の側にはパンやちょっとした食品を購入できる店や学食などがあり、周辺の環境も充実しています。加えて、アップライトピアノが置かれた演奏室があることも個人的に嬉しいポイントです。ピアノがきっかけで生まれた交流もあり、言語を超越した友人とのそれは生涯を通し忘れることはないでしょう。

【食事】

私は日常的に自炊をしないので、基本的にはスーパーでトルティーヤやサンドイッチ、パンなど出来合いのものを購入したり、市街地に点在するアジア系の料理屋で外食したりして凌いでいます。日本のような惣菜文化は無いので、自炊しない場合は食べるものがかなり制限されてしまいます。パスタは手頃で食費も浮く便利なものですが、日本のようにバラエティ豊富なパスタソースは売っていないので、飽きずに食べ続けるには工夫が必要です。そして、中心駅前のアジアンショップに行けば、通常のスーパーでは見かけないしめじなどのキノコ類やもやし、そばの乾麺や豆腐、マヨネーズ等の調味料を入手することができるので、ある程度の日本食は自炊することができます。一方、薄切りの肉は売っておらず、手に入るのは多めの鶏肉や骨付き肉、ミンチ肉程度です。団子状に加工された肉が売っているので、白菜と合わせて簡単な鍋を作ることもあります。不規則で粗末な私の食生活ですが、人間の環境適応能力は想像以上に高く、現在では日本食を渇望することもなくなり、それなりに満足度の高い“食”を楽しんでいます。

【気候】

極寒を覚悟していましたが、暖冬のせいかチェコの冬はそこまで厳しいものではありませんでした。最も寒さを感じたのは秋から冬の季節の変わり目頃で、マイナス数度の気温と冷風が重なると長時間外には居られないほどでした。しかし、冬最中の12月から1月にかけて、降雪は減り暑いほどの日光の強さを感じることもありました。2月現在は、肌寒い風を少し残しながらも春の足音が聞こえてくるほど過ごし易い天気が続いています。そして強調したいのは、体感的にブルノは晴れの日が多いことです。これは心身の健康を保つためにも非常に重要なことだと思います。まず、ヨーロッパと一口に言ってもその気候は様々です。雨季があり冬は雨続きである南欧を始めとして、冬の時期になると憂鬱な天気が続くことが多いヨーロッパですが、内陸に位置するチェコ・ブルノでは雨が数日に渡って続くことも無いので、気分が天気に左右されることが滅多にありません。留学によらず、生活の拠点を置く地を考える際に、1日の始まりを青空で迎えることができるかという視点を持つことは大切だと思います。

【文化の違い】

「文化の違い」を改めて問われると考え込んでしまうほど、衝撃を受けるほどの大きな違いを普段の日常の中で感じることは殆どありません。留学開始当初のことを思い起こして見れば、電車やバス等の公共交通機関の中で電話したり大声で会話する人、平日の昼からビールを片手に談笑している人、無愛想な接客態度の店員さん、お祭りの日に頭にキスし合う老夫婦を見たときは日本との「文化の違い」を感じました。日曜に教会に行けばミサが行われていますが、チェコは無宗教者の割合が高く熱心な信徒が少ないことや、チェコ人には外国人=フレンドリーという日本人が抱きがちなイメージが当てはまらず基本的に他人に干渉しない人が多いことなど、日本人と似通うチェコ人の特徴もあるだろうと私は思います。また、こうした現地の文化をより理解するためには普段の日常の中でそれを“なんとなく”肌で感じるだけでは不十分であり、例えば、周辺国に幾度も占領されながら民主化した歴史を経て形成された国民性やこの地における自由や独立という概念が持つ意味などについて自分なりに考えてみることも大切です。それは必ずしも現地の博物館等の文化施設に足を運ぶことではなく、祭日や祝日に敏感になり過ごしてみたり、あらゆる違いを意識的に味うことも異国に身を置く楽しさであると私は思うのです。

【現地での生活環境・街並み等】

現地での生活環境について、買い物、交通、治安、トイレの4つの視点に分けてまとめました。

1.買い物について

ブルノには、大手のスーパー(Albert, Lidl, etc)が点在しており、日常の買い物に困ることは全くありません。メインステーションの近くにはショッピングモールもあり、ある程度の買い物はそこで済んでしまいます。また、物価は日本と比較し極端に安い訳ではありません。パンや調味料など、一部の食料品は非常に安い印象ですが、その他の日用品などは日本と同等または少し高いように感じます。決済は基本的にクレジットカードで行っていますが、ローカルなベトナム料理屋などに行くと、ごく稀に現金のみの店があるので最低限の額の現金は持ち歩いた方が良いです。

2.交通について

発達した交通網を活用し、ストレスフリーに自由自在にブルノ市内を移動可能です。バスは24時間運行であるため、深夜でも公共交通機関を利用して寮に帰ることができることはパーティー好きの学生にとっては非常に嬉しいことでしょう。(夜間は一時間に一本程度まで本数は減ります) また、チケットに関して、Brno iDというサイトでトラム・バス共通の3ヶ月有効の定期券を購入することができます。車内を警察官が巡回しチケット(クレジットカード)の提示を求められることがあるため、定期券と連携したクレジットカードを常に携帯する必要があることを強調しておきます。(提示できない場合は約5000円の罰金を支払うことになります)

3.治安について

チェコは、世界平和度指数など治安の良さを図るデータが示すように、ヨーロッパの中では比較的治安の良い国として認知されています。私自身、これまでの生活の中で身の危険を感じたことはありません。路上生活者の方も見かけることはありますが、「お金をください」と声を掛けられることはあっても、危害を加えられることは滅多にないだろうと思います。しかし、こうしたデータや他人の体験談を安心材料にすべきではありません。実際に、私の身近にもブルノでスリに遭い携帯を取られてしまった人もいます。日本にいようがチェコにいようが、常に最悪の事態を想定しながら、危機管理を怠らないことは自己防衛のために必要なことです。外務省や大使館が示す安全情報を参考に、実際の生活のイメージをしながら自身がすべき対策を今一度考えてみると良いと思います。

4.トイレについて

街中にあるトイレは基本的に有料(10~20コルナ)ですが、レストランなどで食事をする場合は基本的にはトイレを無料で使うことができます。バーガーキングなどの店舗では、レシートに記載されたコードを入力するとトイレを使用することができます。私の場合は、有料のトイレを利用することは殆どなく、基本的には大学のトイレを使ったり、買い物中も尿意も少し我慢し寮のトイレを使うようにしています。トイレの利用にお金を払う感覚が私には無いので、トイレは行けるうちに行っておくことを心掛けています。

【今後の課題】

秋学期の反省を踏まえ、春学期の目標は人間関係の構築に受け身にならず、より多くの人と出会い、話すことです。私は極度に内向的な性格であり、全く新しい地で生活すれば何か変わることができるかもしれないという淡い希望を持ち留学を決意しました。しかし、人は単に環境を変えただけで変わることは難しく、想像以上に友達作りに苦戦しています。新しい出会いはあっても、その後の関係性が続かないことが多く、その度に人との付き合い方が苦手であることを痛感するのです。多様な国籍の学友に囲まれている環境を無駄にしないために、コミュニケーションの質と量を能動的に変えていく努力を重ねていくしかありません。


左)各国の料理を持ち寄る「インターナショナルディナーパーティ」の様子

右)「Visiting of schools」という授業で幼稚園に観察実習に行った時の様子


左)バディが私を実家に招待してくれ、ワイン用葡萄収穫を手伝った日の様子

右)「Outdoor activities」という授業でブルノが見渡せる小高い丘までランニングした時の様子

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