静岡大学国際連携推進機構

在学生
の方へ

留学プログラム

夏季短期留学

ネブラスカ大学オマハ校(アメリカ)

  • 留学期間:2017年8月8日~2017年8月30日
  • 学部等:人文社会科学部・農学部・情報学部・工学部

人文社会科学部 樋渡絢子
私は今回の夏季短期留学で、はじめて海外を訪れました。アメリカの人々や生活、文化を目の当たりにして、多くの刺激を受け、また新たな視点から日本を見つめ直すことが出来ました。
まず、ホストファミリーと過ごす時間は、私にとって貴重な時間でした。ホストマザー、ホストファザーは、仕事などで忙しい合間を縫って、大学への送り迎えをしてくれたり、私との会話の時間を作ってくれたり、アメリカでの生活を充実させるためのお手伝いをしてくれました。特に、大学への送り迎えの車中や、食事の時間にたくさん会話ができたことが何よりも嬉しく、また私にとって英会話の練習の時間にもなっていました。日常会話は次第にスムーズに出来るようになったのですが、自分の気持ちを表現したり、また相手の知らないことを説明したりする際には、語彙力が足りないがゆえに、全てを伝えきれないことに、もどかしさを感じることが多くありました。ですが、いつもホストマザー、ファザーが、私が頭の中で自分の考えを整理し、英語に置き換える時間をゆっくりと待ってくれたおかげで、落ち着いて会話をすることが出来ました。
一週間の横断旅行では、数多くの初めての経験をしました。中でも印象に残っている出来事は、カスターステートパークでバッファローの大群を見たことです。数えきれないほどのたくさんのバッファローは迫力満点で、日本では絶対に見ることの出来ない景色に感動しました。また、フォ-トロビンソンステートパークでのカヤック体験もとても充実したものでした。初めてのカヤックに苦戦しましたが、アメリカ人の学生さんが終始サポートをしてくれて、“Are you OK?”と何度も優しく声をかけてくれました。また一緒に留学に参加した友人の多くのサポートもあり、2時間近くの道のりをゴールした時の達成感はとても大きなものでした。カヤックだけではなく、様々な場所を訪れたり、また一緒に食事を作ったり、たわいもない会話をする中で、日本人とアメリカ人という壁を感じることがなかったことも、この旅行の中で印象に残っていることの一つです。協力して何かをするときに、言葉の壁は多少ありながらも、お互いを思いやる気持ちや、友人としての繋がりが、その壁を取り払ってくれていたような気がします。
大学での授業でも、多くのアメリカ人の学生さんと会話をする機会がありました。私がなかなか英語を聞き取れないときには、何度も繰り返し話をしてくれたり、また会話を盛り上げるために多くの質問をしてくれたりと、優しい心遣いに感謝の気持ちでいっぱいでした。また会話をする中で、ほとんど年齢の変わらない学生さんたちが自分の考えをきちんと言葉にする姿に、驚かされました。自分の意思や、動機をしっかりと語る姿に、私もそうありたいと考えさせられる場面が多くありました。
そして、留学の最後に2泊3日で訪れたニューヨークでは、世界の超大国としてのアメリカを実際に肌で感じることが出来ました。タイムズスクエアはたくさんのビルの明かりで、夜になってもまるで日中のようで、活気を感じました。ビル群の間を歩く人々は、本当に様々で、国も仕事も異なる多くの人々が行きかう様子は、とても印象に残っています。また国連を訪れたことは、国際政治について大学で学んでいる私にとって、とても貴重な時間で、まさに世界の中心を見ているような、そんな気持ちになりました。
今回アメリカを訪れ、そこで感じた空気の自由さとおおらかさは、私にとって新鮮なものでした。またつたない英語を話す中で、たくさんの人のやさしさに触れ、もう一度アメリカを訪れたいという気持ちを強く持ちました。今まで日本の中での生活しか知らなかった私に、新たな考え方を与えてくれたこの留学生活は、私にとってかけがえのない時間です。

農学部 陶山茜
最高に楽しかった。特に印象に残っているのは1weekトリップで、一週間同年代のネイティブの方と一緒に隣の州までバス旅行をした。普段はホームステイだがトリップの間はホテルや宿舎に宿泊する。その時、ほてるでネイティブの方と一緒の部屋になったり、宿舎では夜通しトランプやジェンガやおしゃべりをしたりしてすごく仲良くなることができた。
わたしは農学部で、正直英語は苦手だった。しかし、ホストマザーは丁寧に話を聞いてくれ、大学の先生はゆっくりしゃべってくれる。友達は分かり合おうといろんなところに連れて行ってくれる。本当に素晴らしかった。
ネブラスカ州は決して都会ではないが、近くにショッピングモールや日本でいう商店街やいろんなお店があるし、田舎な分とても安全で、人々も穏やかでとてもフレンドリーである。多くの日本人のように消極的でなく、さまざまなことに積極的、意欲的であり、そういった点にすごく好感を持った。日本では出る杭は打たれるといわれるがが、出る杭は称えられるすごく素直な文化だと感じた。

情報学部 安藤聖野
留学しようと思ったきっかけは去年留学をした部活の先輩からいろいろ話を聞いて楽しそうだなと思ったからでした。実際留学をしてみて、とても充実した日々を送れました。
ホストファミリーとはちゃんとコミュニケーションがとれるのか不安でいっぱいでしたが、最初会った時からフレンドリーに接してくれて安心しました。一緒にショッピングをしたり、ステーキを食べに行ったり楽しく過ごせました。
学校では先生もおもしろい方で、気楽に授業を受けました。授業内でたくさんの学生と話したことも貴重な時間でした。アメリカの学生はみんな大人っぽく、話してみると物知りでたくさんジョークをはさんでだり、楽しく話すことができました。学校で99年ぶりの日食を見れたのはとてもラッキーでした。
サウスダコタの旅行ではアメリカの広大な自然を体感できました。みんなで朝ご飯を作ったり歌ったり、たくさん写真を撮って濃い時間を過ごせました。
最後の2日間ニューヨークに行きましたが、行けてよかったです。2日間だけではありましたが、国連やセントラルパーク、5番街など行きましたがたくさんの人種の人がいて、世界中の人がここに集まってきてることを実感しました。日本人もたくさん見かけました。いつかもう一度来てゆっくり観光したいと思いました。
留学をしてみなければ体験できないものはたくさんあると思いました。留学中に出会った人、経験したものは今後の自分のプラスになるように大事にしたいです。英語ももっと話せるようになりたいと思ったし、もっとたくさんの国に行ってみたいと思いました。3週間はほんとにあっという間でしたが、たくさんの思い出ができて、充実した夏休みでした。

情報学部 須藤早喜
 私はこの夏期短期留学が初めての海外でした。そのため不安が多かったですが、日々過ごしていくうちに不安どころか、帰国日が近づいていることに憂鬱になるほど、毎日のイベントが楽しくて仕方ありませんでした。
サウスダコタ横断旅行では、多くの博物館に訪れてアメリカの歴史を学んだり、カヤックや馬に乗るといったアクティビティを楽しんだりととても充実した一週間を過ごしました。また、オマハのヘンリードリー動物園に行き、カンバセーションパートナーや大学から一緒に行った友達と仲を深めることができました。私のお気に入りは、スキー場にあるようなリフトに乗って動物園を上から眺めるスカイファリです。この動物園では、日本で見ることのできない動物を間近で見ることができましたが、広すぎてすべて回りきれなかったのでまた行きたいと思います。
大学での授業では、アメリカの習慣の違いや学生の生活など日本との違いについて先生や現地の学生と話し合ったり交流したりできたので時間が経つのがとても早く感じ楽しかったです。日本では基本先生の講義を聞く授業が多いので、先生と話し合いながら進める授業はとても新鮮でした。また、ホームステイ先では初め緊張してあまり話せませんでした。ですが、徐々に話せるようになり、ホストファミリーと様々な話をしたり二人の子供たちと遊んだりすることができ学べたことも多く本当に良かったです。英語が伝わらないときもありましたが、親切な家族でとても感謝しています。
大学研修後のニューヨークはオマハとはまた違った雰囲気で同じアメリカでもこんなに違うのかと驚きました。自由の女神像やブロードウェイを見たり、国際連合やセントラルパークに訪れたりし、二日間ニューヨークを満喫できたのもいい思い出です。今回の夏期短期留学では、旅行や授業を通して友達がたくさんでき、助けられました。日本とは違う文化が多く戸惑うこともありましたが、日本で体験することのできない経験をし、参加して本当に良かったと思います。

情報学部 加藤雅也
授業は午前中にUNO(大学)で行われ、レストランやファストフードでの注文の仕方、ネブラスカやオマハの歴史・地理、大学で必要になる語彙、日本とアメリカの文化や生活の違い、仕草やジェスチャーの違いなどを学び、最終日には留学を通じて個々人が学んだこと・感じたことをプレゼンテーションした。また授業内ではUNOの学生と会話をする時間が設けられており、自由なトークテーマで多くの人と会話を楽しんだ。大学内にはジムがあり、そこでみんなとバスケットボールやバドミントン、クライミングをして楽しんだ。大学で驚いたことは敷地がかなり広いこと(UNOの学生たちは広くないと言っていました)、設備や施設が綺麗だということ、学生の皆さんが本当に優しいことです。
サウスダコタ旅行では歴史ある場所や広大な自然を体験することができた。道中ではバッファローの群れや鹿、プレーリードッグなど沢山の動物にも遭遇した。なかでもChimney RockとMt Rushmoreは圧巻の場所でした。サウスダコタ旅行の最終日に訪れたClear Creek Organic Farmsという農場のお肉が今まで食べた中で一番おいしいお肉だった。長い移動でしたが沢山の場所を訪れ素晴らしい経験が得られました。この他にも世界最大規模の動物園であるHenry Doorly Zooや歴史博物館であるDurham Museum、ホストファミリーとのFreedayにはLauritzen Gardensという植物園を訪れた。
ネブラスカでの研修後私たちはニューヨークを訪れた。NYの滞在時間は本当に短かったけれど自由の女神やブロードウェイでの劇場、国連など訪れてみたい場所に多く行くことができた。自分たちだけでレストランに行ったり地下鉄に乗ったりしてネブラスカでは経験できなかったことも体験することができた。ニューヨークの感想としてはいろいろな人種がいてさすが世界の中心地だなと感じた。スターバックスに行った際注文でミスをしたのでいつかリベンジしに行きます(笑)
留学を通じて本当にたくさんのことを学べました。まず一つは自分の英語力の無さ、もっと相手が何を言っているのか理解し、自分が何を伝えたいのかを話せるようになりたいなと思いました。ただこれとは別に英語がカタコトでもなんとかなるという感覚も得られました。この状況には満足してはダメですが身振り手振りの重要性など改めて痛感しました。また文化や生活の違いも多く学ぶことが出来ました。例えばアメリカでは玄関という概念が基本的には無く靴を脱がないことや単位が違うためモノの捉え方が少し違うということなど。他の国の文化を学ぶ中で自分が意外と日本の文化や伝統について知らないという現状も分かりました。この経験が日本の文化を見つめ直すきっかけになったので良かったです。
~最後に~ オマハは本当に過ごしやすい環境でした。何と言っても町の人や学生が本当に親切で優しかったです。またいつかオマハに戻りたいなと心から思いました。あっという間に終わってしまいましたが毎日が本当に新鮮で充実していて楽しかったです。ホストファミリー、UNOの先生方、武先生、Julien先生、カンバセーションパートナーの皆さん、引率の先生方、日本から今回参加した皆さん、留学先で携わった皆さん、すべての人に感謝申し上げます。ありがとう。Thankyou. 卍

情報学部 長谷川京香
今回の留学でネブラスカ州、サウスダコタ州の自然を存分に感じることができました。中でも、サウスダコタ州中に見た星空は非常に美しく、印象に残りました。また、ネブラスカ州オマハ市でホームステイをしたことで観光地を巡るだけではわからない、アメリカで暮らす人の生活、習慣、文化を肌で感じることができました。今回の留学中にみんなで料理をする機会が多くありました。そのおかげで、自分だけのためでなく誰かのために料理や自分の役割を果たす楽しみを学ぶことができました。そしてこの留学を通してたくさんの友人が出来ました。
ニューヨーク近代美術館に訪れた際、ピカソの「アビニヨンの娘たち」やゴッホの「星月夜」を鑑賞でき、とても感動しました。

工学部 長尾優輝
私は、アメリカの文化や自然を知りたくて今回初めてこのプログラムに参加しました。今の時代、インターネットがあるからいろんな事を調べることはできますが、やはり実際体験するものとは全然違うように感じられました。まず、自然のことに関してですが、私たちは留学期間の最初の方でサウスダコタに向けて出発しました。そこでは、果てしなく続く広大な土地とBadlands のような自然によって形作られた素晴らしい景色を眺めることができました。どれも自分の想像を超えていて凄かったです。次に、文化についてですが、一番の違いはやはり食生活だと思います。個人差はあると思いますが、アメリカではハンバーガーやホットドックなどを中心とした食生活で、さらに量がとても多いので食べるのに苦労しました。ともかく、この3週間という短い期間でしたが日本では得られない貴重な体験をすることができて良かったです。

工学部 會田侑平
今回の留学では、多くの貴重な体験をすることができました。まず、大学内の施設の差です。私たちの訪問した大学は公立の大学なのですが、日本の公立大学とは施設が別物でした。充実したトレーニング施設や多くのスポーツ用品があり、素晴らしいものでした。アメリカ観光では日本とはまた違う人々の優しさに触れました。アメリカの方々は初対面の人間にもかなりフレンドリーでとても親切にしてくれます。これは日本には見られない傾向であると感じました。また、スーパーマーケットで感じたのですが、アメリカでは大量生産大量消費の意識が強いと感じました。一つの商品が内容量のわりに価格が安く、これも日本では見られないものだと感じました。

工学部 池谷英悟
本研修の日程のほとんどはUNOで日本語の講義を担当しておられるレイコ・武・ラコタ先生が組まれましたが、その内容は非常に面白く、刺激的で興味深く、武先生の深慮が隅々まで行き届いたものでした。ここでは、研修中に僕が体験したことをかいつまんで紹介します。
 初日は羽田からミネアポリスまで国際線で移動し、オマハまでの国内線に乗り換えるのですが、その際の検問に時間を取られてオマハ行きの飛行機に乗り遅れてしまいました。そのため、もともと午後4時半にはオマハに到着するはずの予定が午後11時まで遅れてしまい、武先生やホストファミリーとUNOの学生の方々には多大な迷惑をかけてしまいましたが、それにも関わらず、皆さん温かく私たちを迎えてくれました。私のホストファミリーのLaverdaさんはとても気さくな元美容師の方で、Johnさんは思わぬ時にジョークが冴える紳士でした(もっとも、初めは彼のジョークがまったく理解できず難儀しましたが)。
 二日目、三日目は大学での英語の講義と学生のコミュニケーションパートナーの方々との交流です。講義といってもそれほど難しいものではなく、レストランでの注文の仕方やネブラスカの歴史といった、これからアメリカでの生活を送るにあたって必要な知識を教えることを主眼としていました。UNOの学生の方が務めるコミュニケーションパートナーとの交流では、はじめはとても緊張しましたが、こちらの拙い英語でも好意的に解釈してくれる素晴らしい方々でしたので、徐々に緊張もほぐれ、とても楽しい有意義な時間を過ごすことができました。ホストファミリーのお宅に帰ってみると、ご夫婦のお孫さんのSaraちゃんとJohnくんが遊びに来ており、家族一同でカードゲームなどをして親交を深めました。
 四日目からはサウスダコタ旅行です。この旅行では、煙突の形状をしたChimney Rockや建国の父たちの彫刻で有名なMount Rushmoreなど米国中部の観光名所のほか、川崎重工の工場や有機農園などをバスに乗って1週間かけて周ったのですが、今回の旅行は、数多くのまたとない僥倖に恵まれたといえるでしょう。国立公園のCuster State Parkではゆうに百頭を超えるバッファローの大群に間近で出会うことができましたし、雄大な自然を望むBadlandsでは、天候の不順が事前に心配されていたにも関わらず、実際は快晴に恵まれ地平線まで見渡すことができました。ピクニックやカヤック乗りは快適としか言いようがない天候の中で楽しむことができましたし、午前中の雨で中止になりかけたホースバックライディング(乗馬)も、午後には降り止んだおかげで体験できました。ほぼすべての日程が予定通り、時には予想以上に実行できたのは、長年携わってきた武先生にとっても初めてのことだったらしく、まさにGod blessed usと形容するに相応しい、素晴らしい体験の連続でした。
 また、この旅行では名所巡りだけでなく、アメリカの入植者とネイティブアメリカンとの関わりについて学ぶ数多くの機会がありました。歴史の授業で習ったように、両陣営の衝突や入植者による迫害、強制収容などの悲しい話もありましたが、時には協力し合う話もあり、歴史とは一方の視点から単純化してみることはできないことを改めて実感しました。
 振り返ってみると、このサウスダコタ旅行は私がこれまで生きてきた中でも最も有意義な体験の一つに位置付けられます。本旅行のプランニングをしてくださった武先生には、頭が下がる思いでいっぱいです。
サウスダコタから帰った翌日は英語の講義の続きを受け、その次の土曜日はHenry Doorly Zooへと向かいました。この動物園は1894年に開園し、2014年には観光会社のTripAdvisor, Inc.において“世界一の動物園”に選ばれたネブラスカ屈指の観光名所の一つです。園内にはロープウェイや列車が走っているほど巨大で、常に改善・拡張されており、一度来ただけではその全貌はとても把握できるものではありません。私が動物園を訪れたのは何年振りかわかりませんが、童心に帰ったつもりでコミュニケーションパートナーの方々とひとしきり楽しみました。私は英語を勉強するためにアメリカに来たはずなのに、なぜこんなにもバケーションを楽しんでいるのでしょうか。
 翌日の日曜日はホストファミリーとの交流の日です。私は彼らに連れられて教会へ礼拝に向かいました。そこで待ち受けていたのはライブステージの上で現代曲風にアレンジされた讃美歌を歌うバンドの方々でした。ホストファミリーのJohnさんによると、ここは初めはとても小さな教会だったそうで、少しずつ拡張を続けて今ではこのステージができたのだそうです。アメリカではメガチャーチという極度に世俗化された礼拝スタイルが人気を博しておりますが、私が訪れた教会はそれほど巨大ではないにしろ、やはり現代に合わせた新しい信仰の形なのでしょう。
 次の週は引き続き英語の講義です。午前中の講義が終わった後はスポーツジムへ行ったり買い物をしたりと各自自由に行動するのが常でして、この週の火曜日は僕のホストファミリーの発案で皆を集めてパーティーを開くことが決まりました。その名もバレーボールパーティーです。ホストファミリーのSaraちゃんはバレーボールに執心しており、同じ家に身を寄せている僕と雅也くんはほぼ毎日彼女の練習に付き合わされていたのですが、その役を他の研修メンバーにも押し付けようというのがこのパーティーの魂胆でした。参加者には今回の研修に関わる方々だけでなく、かつてこの研修に参加し現在はアメリカで現地の男性と結婚しておられる方も交えて、忙しいながらも和気あいあいとした雰囲気の中でパーティーを開くことができました。
 私が講義の時間以外はずっと遊んでいたかというと、必ずしもそうではありません。研修の総括としてのプレゼンテーションを用意しなければならないことに加えて、オマハ市長訪問時のスピーチの準備もする必要がありました。原稿はサウスダコタ旅行中にすでに完成していたので後は暗記をするのみでしたが、若かりし頃に比べると記憶力がだいぶ衰えておりましたので、ひたすら何度も口に出して覚えざるをえませんでした。ただ、その努力の甲斐もあって実際の訪問時には大きな誤りをすることなく、時にはアドリブも交えて良いスピーチができたと思います。この成功は、ひとえに原稿の校正をしてくださったPeter Clements先生と武先生のご尽力の賜物です。
 英語の講義はこの週で終わり、週末にはホストファミリーやコミュニケーションパートナー、他の留学生や地域の方々も交えたサヨナラパーティーが待っています。パーティーでは、日本の料理としてお好み焼き、ちらし寿司、茶そば、肉じゃが、みそ汁、抹茶アイスを皆さんに振舞いました。ベジタリアンの方のためにお好み焼きの具はキャベツのみ、ちらし寿司は錦糸卵ぬきのものも作りましたが、既成のお好み焼きの生地の中に魚のだし粉末が入っていたので、ベジタリアンの方向けの料理がちらし寿司と茶そばのみになってしまったのが心残りです。食事のあとは折り紙のレクチャーをして、サヨナラパーティーは盛況のうちに終えることができました。
 オマハ市滞在の最終日には、ホストファミリーの方や武先生、引率の佐藤さんも交えてLauritzen Gardensへと向かいました。ここはオマハ市でも有名な植物園で、園内には姉妹都市の静岡市から送られた駿府城の門のレプリカや茶室が設けられています。駿府城の門は10年前、茶室は去年建てられたばかりで、日本の職人が日本の材料を用いて現地で建てたそうです。定期的に静岡市民や市長をこの植物園に招いて式典を催しているそうで、静岡市とオマハ市の絆の深さを改めて知ることができました。
 そしてとうとう、オマハを発つときがやってまいりました。オマハで過ごしたのは実質一週間強にすぎませんでしたが、この街での生活を振り返ってみると、掛け値なしに素晴らしかったと言えます。街の雰囲気は明るく、清潔でしたし、人々はとても気さくで親切でした。私が街中でぼーっと突っ立っていたときに、通りすがりの人が「道にお迷いですか?」と声をかけてくれたことがありましたし、狭い雑貨店の中でいかつい身なりの男の人が脇へどいて道を譲ってくれることもありました。オマハ市のどことなく和やかな雰囲気は、静岡の気風とどこか似ているかもしれません。(ただ、オマハ市にも治安が悪いところはあって、そこへ行くことはもちろん慎みましたが。)
 ホストファミリーとコミュニケーションパートナーの方々、武先生ご一家とは、今日でひとまずのお別れです。短い期間でしたが多大なお世話をしてくださった彼らとの間に築いた絆は深く、別れの際には胸に寂しさとむなしさがこみあげてきました。このひと夏の素晴らしい体験をくださった彼らのご尽力には、感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
 …と、これで今回の短期研修が終わりというわけではありません。残りの三日は(学生にとっては)お楽しみのニューヨーク観光です。オマハから飛行機に乗って数時間、初めて降り立ったニューヨークの印象は、荘厳なブルックリン橋、聳え立つ摩天楼の数々、ひしめく熱気、緊張感、様々な国籍の人々…そして、街が非常に汚いということです。道路にはゴミが散乱し、公共のゴミ箱の横には多くのゴミ袋が積み重なっていて、建物の壁には乱雑なグラフィティがあふれていました。オマハ市のほんわかとした雰囲気とは正反対でしたので、ニューヨークに来た当初は気が滅入ったことを覚えています。それでも、初日に訪れたタイムズスクエアの溢れるような広告ディスプレイは圧巻でしたし、ブロードウェイのミュージカルは素直に楽しめました。また、二日目の自由散策では憧れのニューヨーク近代美術館(MOMA)とメトロポリタン美術館に行ってピカソやゴッホの名品を間近に見ることができました。(メトロポリタン美術館は、時間が足りなくて中に入ることはできませんでしたが)。ニューヨークでは人々が殺伐としていると聞いていましたが、MOMAの陽気なスタッフの方と仲良くなって談笑できたのはよい経験でした。ニューヨーク二日目は完全自由行動でしたので、メンバーになにが起こるかわからず、引率の佐藤さんにとっては気を揉み続けた一日だったでしょうが、全員無事にこの日を終えることができたのは幸いでした。以上が、私が今回経験したアメリカ夏季短期研修のあらましです。

ページの先頭へ