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留学プログラム

交換留学

ソフィア大学(ブルガリア)

  • 留学期間:2018年10月〜2019年7月
  • 学部等:教育学部

ドブロ・ウートロ。ブルガリアのソフィア大学に交換留学している森川勁です。ソフィアに来てから3ヶ月があっという間に過ぎました。ここまでの生活を振り返ってみます。
まず、授業プログラムについてです。留学生は、基本的にヨーロッパからの留学生のために英語で開講される授業を受けますが、ブルガリアの学生向けの授業も受けることができます。ただし、ブルガリア語が理解できている必要があります。留学生向けのプログラムはどの学部も充実しているようなので、ソフィア大学への留学に興味のある方はソフィア大学のホームページからみると良いと思います。
 私はジャーナリズム・マスコミュニケーション学部に所属して、国際関係に関する授業を受講しています。他の学部にもそれに関連した授業があるので、受講しています。授業はだいたい4~5人くらいで、フランスやスペイン、ドイツ、ポーランド人などと受けています。生徒たちは皆、教授の話を中断させてでも自分の意見を述べたり質問したりと、積極的で見習うべきところです。
英語で授業についていくのは容易ではありませんし、専門用語や国際関係に関する歴史などへの理解が必要になってきます。そこで自分は毎回最後に教室を出る様にして、教授と一対一の状況を作り、分からなかったところを聞く様にしています。どの教授もとても親切なので、時間の許す限り、聞いてくれます。
ジャーナリズム関係の学びは自分にとって新しいことでしたが、3ヶ月の間でも多くのことを学べました。私はこれまで自分が目にしたり、耳にしたニュースになんの疑いもなく信じてきました。しかし授業を通して、その報道は誰の目線からなのか、他の国ではどの様に報道されているのか、なぜ、その様に報道されているのかといった視点を持つようになれたと思います。こうした視点は自分に新たなものの見方や考え方を与えてくれました。そして、ブルガリアという先進国とは言い難く、EUにおいては経済的に力のない国で学ぶことにも大きな意味があったのだと思います。私の大好きなブルガリア人の教授はよく、「私たちが目にする国際ニュースは、先進国の大手メディアばかりで、一部の側面からしか報道されていないものがすべてであるかの様に伝えている。」と言っています。また、「難民に関する記事で、難民が書いた記事を見たことがあるか?」と言っていたのは印象に残っています。世界でもヨーロッパでも発信力があるとは言えない国で育った彼女だからこそ、そうしたことを強く意識しているのだと感じました。日本という先進国にどっぷり浸かっていた自分にとってはハッとさせられた瞬間でもありました。
このように海外の大学には日本であまり目にしない学部があり、新たな学びにチャレンジしたいという人には交換留学は持ってこいだと思います。ぜひ色々な大学を調べて見てください。
 海外で学ぶ、住むということは、同時に日本がどんな国かを知る機会でもあります。授業を受けるようになってから海外のメディアに目を通す様になりましたが、日本ではあまり報道されていないことが多く報道されています。その中には、一見関係のないことに見えて実は日本にある問題点と重なる点も多くあったりします。またブルガリアに来る前はオーストラリアにも少し滞在していましたが、どちらの国でも、多くの外国人が働いて、楽しそうに生活している様子を目にします。一方で、自分が一番に思い浮かぶ日本にいる外国人はコンビニやレストランで働いている人々でした。旅行者もいるため判断は難しいですが、買い物を楽しんだり、遊園地で遊んだり、居酒屋で楽しそうに飲んでいる彼らをあまり見かけたことはあまりなかったように思います。これから多くの外国人労働者が日本にやって来ますが、日本はまだまだ外国人労働者にとって住みやすい国ではないように感じます。
ブルガリアは元共産主義国であり、その面影は建物や人々の様子からも感じることができます。関係ないかもしれませんが、大学に向かうバスの中で、運転手がいきなりバスから降りてパン屋でパンを買い、食べながら運転を再開したのは衝撃を超えて感動しました。ブルガリアでの生活は決して便利とはいえませんが、不自由なく生活することができます。日本での常識を捨てて、便利だと思えばむしろ便利です。そして物価が安く、ソフィア大学から毎月、給与型奨学金約35000円ほど頂けます。派手な生活をしなければそれで生活していけるので、とても助かっています。
そして何より留学の醍醐味といえば、国内や海外旅行といった新たな人々や文化、価値観に出会えることです。ブルガリアは、ヨーロッパ、中でも多くの国があるバルカン半島に位置するということもあり、海外旅行をするにはもってこいです。と言いつつ、自分はまだセルビアにしか行っていないのでこれから多くの国を巡りたいです。
セルビアでデモ活動を目撃し、政治問題について色々尋ねたり、ヨーロッパで差別を受けるロマ人の居住地区を訪問してGoogle翻訳で会話したり、現地NGOの難民支援プロジェクトに参加したり、人の気配がないバス停に間違えて降りて野良犬に襲われたり。どれも素晴らしい経験です。そしてなかなか勇気が踏み出せない人ほど行く価値はあると思います。周りは自分のことを知らない人ばかり、だからこそ周りの目を気にせずになりたい自分にチャレンジできる環境があるのではないかと思います。
また、交換留学を考えている方でも、自分の興味のある分野でインターンやボランティアなど探してみると、なおさら良いかもしれません。そしてその際には「トビタテ」という奨学金を利用すると良いと思います。高い志を持った全国の学生と交流できる機会があるそうです。僕の尊敬する同級生はトビタテを利用しましたが、ものすごく成長して帰ってきました。国際交流課の方に尋ねてみると詳しい話が聞けるかと思います。
最後にこうした素晴らしい体験をできているのは、自分を最後まで面倒見てくれた指導教員や教授の方々、留学を勧めてくれた学務係の方々、英語力のない自分を送り出してくれた国際交流課の職員の方々、応援してくれている家族があってこそです。感謝の気持ちを忘れずに、残りの留学生活を過ごし、無事に日本に帰国したいと思います。

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