【授業】
取った授業は以下の4つ。
・National minorities in Europe between the two world wars
2つの世界大戦前後のヨーロッパ全体の歴史をマイノリティをキーワードに概観する。その中で、国民性(nation)という概念の誕生とそれが浸透していく過程や、国際連盟の機能、第一次世界大戦後から第二次世界大戦中のイタリアの歴史などを深掘りした。隣接する国々で異なる宗教、言語、政治体制を持つヨーロッパでは、同質性を持つ日本とは違った国の成立過程や国民性があることがわかった。教授はスロバキア人の親を持つイタリア出身の先生で、自身の経験なども踏まえて授業をしてくれる上に、積極的に発言やグループワークの機会を与えてくれるので、日本の状況を共有したり、スロバキア、イタリアに限らず受講生の出身国(スペインやルーマニアなど)の状況を知ったりできるため楽しかった。最終課題は授業に関連したテーマを一つ選んで、自身で1つ以上の論文を探し、レポートにまとめるというものだった。
・Introduction to Maya Hieroglyphs
中南米で発展したマヤ文明で誕生したマヤ文字を読んでみようという授業。マヤ文明の歴史から、マヤ文字の構造などを丁寧に教えてくれる。歴史に興味のある人や、珍しいものが好きな人くらいしか集まらないため、留学生は自分を含めて4人くらいしかいなかったが、個性的な学生が集まっていて面白かった。学期の後半はグループワークで、教科書(先生が用意してくれる)を活用して、ある石碑に刻まれたマヤ文字を解読するというもので、難易度は高いがグループの学生や先生と協力しながら能動的に学ぶことができる授業なので楽しかった。最終課題は口頭試問と言われていたが、2日間のワークショップへの参加で免除だった。

(写真1)グループワークで解読を試みた資料
・Slovak Museums, Galleries and Archives
Faculty of Artsでは博物館に関わる授業が多く開講されているが、その中でもスロバキアに限定したこの授業を受講した。スロバキア内の博物館についての説明や、保存されている資料についての説明を聞いた。最終課題は自国で訪れたことのある博物館についてパワーポイントスライドを用いて説明するというものだった。
・Cultural anthropology
文化人類学の方法論や、親族、医療、宗教という概念について理解を深めるといった基礎的な授業。社会学科の学生としてはすでに見聞きしたような内容もあったが、研究例がヨーロッパのものも多く、アジア以外での研究例を知る のに良い機会となった。また、ゲストスピーカーとしてチェコから大学院生2人が研究内容を発表しに来てくれる機会があり、南アメリカでの研究事例を知ることができた。さらにコメニウス大学の文化人類学者がメンバーとして参加するシャーマンや霊媒師を対象とした研究プロジェクトがあり、その発表会を聞きに行った際にはチェコ、ブルガリア、スロベニアなど各地の文化人類学者に質問する機会もあった。最終課題は選択式のテストだった。
【住居】
Mlyny UKという学生寮に滞在した。家賃は月2万円ほどと破格だが(大学のある首都ブラチスラヴァは平均家賃8~9万円/月ほど)、値段相応の環境である。3人部屋で、同性がルームメイトとなるが、共用スペースはバスルームを除いて男女で分けられていない。コンロ4口と各部屋に冷蔵庫(冷凍庫は部屋による)はあるが、それ以外の電化製品はないため、自身で買うか譲り受けたものを使う。ドライヤーや電子レンジは日本人学生が代々受け継いでいるものがあるため日本人の友人に借りに行くことがあった。
最低限のものしかない環境で、ほぼ毎日何かしらの問題が起こり、不満があることもあったが、その不満を共有することで寮生との絆が生まれ、問題を乗り越えることができた。この環境だからこそ、留学生と仲良くなることができたと思っているところもあるので、留学中に友達を作りたい人にはおすすめしたい。
また、毎週水曜日にクリスチャンが寮の一室で主催する英語イベントがある。無理な勧誘をしているところを見たり、されたりした経験もなく、とても温かい雰囲気で英語を使ってボードゲームをしたりお話をしたりすることができるので、抵抗がない人にはおすすめ。
【食事】
基本的に自炊。野菜は日本と同じくらいの値段なので、節約することができる。寮の近くにスーパー(BILLA)があるが、少し高いので大学のある中心街の方で買い物(Tesco, Lidl)をしてから帰ることが多かった。パスタを茹でたりお米を炊いたりして食べることが多かった。寮の水道水は飲んでも問題なかった。スロバキアでの外食は一食約3000円から6000円ほど。ハルシュキ、ピロヒーなどのスロバキア料理があり美味しかった。

(写真2)スロバキア料理の例
(チェスナコヴァ・ポリエフカ、ハルシュキ、ピロヒー、カプスニツァ、グヤーシュなど)
【気候】
私がスロバキアに渡航したのは2月上旬で気温は度くらい。2、3月は曇りの日が多く、雨や雪が降る日もあったが、ダウンコートとコートと肌を出さないようにすれば耐えられる寒さだった。日光がないので冬の時期はビタミンのサプリメントを飲んでいた。4月以降は暖かく、散歩をする人や中心街近くを流れるドナウ川沿いの原っぱに座っている人たちなどが増えてきて、過ごしやすい時期だった。ただ、夜は肌寒く感じることも多かったため、軽くて持ち運びしやすいジャンパーが活躍した。基本的に湿度が低いため、暖房がついているか、晴れていれば、洗濯物はすぐ乾く。ただ乾燥で体調を崩してしまったため、水分補給は意識的に必要。帰国直前の6月末はヨーロッパ全土で熱波によって暑い日が1〜2週間続いたがそれ以降は落ち着いていて、日光が強いが湿度が低いため日本の夏よりも生活しやすいと感じた。

(写真3)ブラチスラヴァの2月と6月
【文化の違い】
英語を話せない人や、話したくない人も多く、寮の最初の手続きや郵便局・警察署などの公的機関ではスロバキア語が必要だった(翻訳機があればOK)。特にビザ取得のために警察署に行くときは、スロバキア語の翻訳ができる人を連れて行ったほうが手続きに問題が生じにくいと思う。
【現地での生活環境・街並み等】
スロバキアは鉄道・バス・トラムなど移動手段が充実している。学生証を使うことで、電車はスロバキア内であれば基本無料、定期券(3ヶ月約1万円)を買えば寮から中心街・鉄道駅・ブラチスラヴァ空港のあるエリアを通るバス・トラムが乗り放題になる。バス・トラムは学生であれば30分約100円。バスはほぼ24時間運行しているし、本数も日中であれば多いため、買い物やお出かけに気軽に行ける。Boltというタクシーアプリが普及しており、料金も日本より安いので、人数が多い時はそれを使うともっと手軽に移動ができた。

【今後の課題】
スロバキア人の方々は優しい性格の人が多く、日本のアニメや美味しい日本食レストランがあるなどの影響で日本に興味を持ってくれる人も多かった。そうした人たちとコミュニケーションをするときは基本的に英語になってしまったため、スロバキア語を習得してスロバキア語で交流することが今後の課題であり、目標である。