静岡大学国際連携推進機構

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留学プログラム

交換留学

コメニウス大学(スロバキア)

  • 留学期間:2022年9月~2023年7月
  • 学部等:情報学部

【授業】

マネジメント学部において、現地学生が受ける授業内容とは比べられませんが、留学生が英語で受ける授業内容のレベルや求められる創造力はそれほど高く感じませんでした。予想通り、ヨーロッパの学生の英語力は非常に高く、私にとっては、英語で学ぶということそのものにハードルの高さを感じました。それが関係するかは分かりませんが、留学に行った学生が「世界の学生はすごく積極的でなんでも発言する!(≒きちんと意見がある)」というのを時々聞きますが、全てがそういうわけではないのではないかと思うようになりました。スロバキアでの授業でも確かによく発言するなあとは思うのですが、小学生がするようなすごく簡単な質問であったり、先生の話を黙って聞いておけば今からそのことについて話そうとしていると予測できる内容であったり、数分ごとに他の生徒が同じことを質問したり、その様子にあきれてしまうことも多々ありました。その代わりといっては何ですが、日本の学生と違って授業中に全く寝ないです。以前、「しゃべってほかの人に迷惑かける代わりに、寝ることで誰にも迷惑かけないんだよ」と、日本の学生の様子を、若干嫌みも込めて教えました。

【住居】

歴史を感じる学生寮で10カ月生活をしていました。学生寮の棟や部屋の割り当てはランダムで、私は前期と後期で部屋を変えました。最大10人でシェアするお手洗いとシャワーは一つずつ、シンクと冷蔵庫は5人で一つ、同姓と二人部屋か三人部屋で生活を共にします。私たちのお手洗いは大変なハズレであったため週に1回は修理が必要で、事務所が閉じている夜間や、週末に詰まって使えなくなったときは本当に最悪でした。詰まってひどく汚れた状態のままのお手洗いを見ることはかなり苦痛で、そうならないためにも私は近くのショッピングモールのトイレまで歩くことも多々ありました。プライベートルームがない難しさはかなりあり、生活リズムの違いから質の良い睡眠を半年近くはとることができず、前期は精神的にかなり疲れた日々を過ごしていました。ストレスから解放されるために、家賃を倍支払うことで二人部屋を独占して生活している人もいました。2~4階はほぼ留学生専用のフロアになっており、共通言語である英語でコミュニケーションを取る良いチャンスでした。キッチンはフロアに一つで、100人近くの人と家庭用キッチンくらいの大きさのものをシェアしなければなりませんでした。人が作り終えるのを待つのは良いのですが、待たせている状況が私は好きではなく、また、自分が汚したのではないとしても非常に不衛生な状態を知らんぷりして、自分のことだけできればよく責任を押し付け合っているかのような雰囲気が好きではなかったので、キッチン用品は初めから購入せず、自炊をすることなく10カ月の留学生活を終えました。


【食事】

上に記載したように、私は寮にあるキッチンを使うことを拒んでいたため、ほぼ毎日、寮から徒歩5分程度で行けるカフェテリアを利用していました。モーニングメニューは、ワッフルやホットサンド、オムレツなど、たった200円ちょっとでそれなりに食べ応えのあるものが揃っていました。ランチ、ディナーメニューの主食はライスやポテト、パンやパスタ、メインディッシュは肉や魚、チーズ、ベジタリアンのメニューもあり、600円程度で利用できました。ここに記載した料金は、学生カードをスキャンして利用できる学生割引価格なのですが、カードは一日に2回しか使えないため、2・3割引程度ではありましたが、節約のためには空腹度合いを調整する必要がありました。またカフェテリアの横には、19時から2時まで開いているピザ屋があったり、寮のすぐ近くにショッピングモールや学生向けのファストフード店もあったりしたので、外出を面倒がらない限りは時間帯関係なく食べ物には不自由なく生活できました。カフェテリアは大丈夫でしたが、外食する際に水が有料なのは驚きでした。また、水にも種類があり、数多くの同じようなペットボトルから炭酸・微炭酸・泡なしのものを区別するのに苦労した日々もありました。


【気候】

ヨーロッパの冬と聞くと、勝手にとんでもない極寒の毎日を想像していたのですが、氷点下を下回ることは時々あっても、マイナス二桁の気温を経験することはないばかりか、雪が降ることもあまりなく、雪が地面を覆ったのはたった一回でした。ただ、9月に突然寒い日々が始まったり、3月下旬に吹雪が吹いたり、雨ばかりの気候になったり、といったうっとうしさは時々ありました。また、日本のジメジメさとは異なる、カラッとした過ごしやすい夏というイメージがヨーロッパにはあったのですが、日差しの強さや石畳の照り返しは想像以上にきつく、また、古い路面電車(トラム)には空調が完備されていないものもあり、過ごしづらい暑さということには大きく変わりありませんでした。


【文化の違い】

私はこの「文化の違い」というものを感じ取るのがとても苦手で、留学前から今現在も、自分の中ですごく葛藤したり、悩んだりしています。自分が接しているたった数人の、またその場面だけで、ある行動や性格的な面をその国・地域の文化ときめつけ、その国の人々(全体像)を知らないのにもかかわらず、「○○人は△△だ!」と言うことが、個人的にはすごく気持ちの悪いことだからです。ただ、10カ月暮らしてなんとなく感じたのは、日本人の方が品性があるのではないかということです(マナーが良いと言ってしまうと、少しずれる気がします)。お酒の飲み方は荒く、机に平気で座り、地面にもその辺どこでも座り、椅子に座れば靴を履いたまま当たり前に足を上にあげ、信号が赤でもガンガン渡り、スーパーでは会計をする前に商品の封を開けて飲み食いし、、日本人の特徴として代表される「礼儀正しさ」がいき過ぎて周りを気にしすぎという風に捉えられることもあるかと思いますが、他人のことを思いやったある程度の常識と責任感というのに通ずる部分があるのではないかと感じています。ですが、これは日本で生まれ、日本で20 年以上教育されているから、日本での生活に最も親しみを感じているだけであるということは必ず念頭に置いていく必要があると考えています。

【現地での生活環境・街並み等】 ヨーロッパの歴史的な街並みは、想像通りに素晴らしく、威厳を感じ、何度同じ街並みを歩いても飽きることがありませんでした。日本のスーパーで見かけるような過剰なプラスチック包装や、レストランで利用する使い捨てのプラスチックカトラリーを見ることはほとんどなく、環境問題への高い配慮も感じました。私が暮らしていたブラチスラバで身の危険を感じたことは一度もなく、治安も非常に良いと感じました。他の首都と比べると小さな街で派手さあまりないかもしれませんが、公共交通機関を利用しやすく、ショッピングモールが多くあり、大変住みやすい街でした。他のヨーロッパ諸国と比べて物価が安く、お手頃にヨーロッパの街並みや食を感じられるのも魅力の一つであると思います。アジア食材店はもちろんですが、日本食レストランもあり、どのスーパーに行ってもsushiが置かれていました。スロバキア語は一切話せない私ですが、生活する際に困ったことはほぼなく、現地の多くの方が英語を難なく話せることは大変ありがたかったです(他のヨーロッパ諸国と比べると話せないと訴えている友人もいましたが)



【今後の課題】

10カ月の留学を経験して、自国についての理解が乏しいことに気づかされています。日本について何か聞かれた時に、その理由を含めて答えることが非常に難しいことが何度もありました。また、スロバキアで生活していた時、ヨーロッパの留学生が「政治」について他の国への意見を言い合っているのを見ることがよくあり、友人が「日本はヨーロッパとは違う政治体制だからなんか話が違うよね~」と言ってまとめてくれていましたが、留学生がそこまで政治に興味を持って自分たちの政治をときに誇らしく、ときにけなす姿は非常に刺激的でした。歴史的背景もあって、ある国の人が別の国の人を嫌っていたり、国として扱うことを(冗談半分で)拒んだり、国境の複雑さを指摘していたり、日本にいたとき私の周りではあまり話題にしなかったことで、非常に勉強になると同時に、自分自身も幅広い知識を得るように積極的に内にも外にも目を向け、また、物事を総合的に考えられる力を身に着ける必要があると考えています。上に述べたように、特に前期は精神的に疲れることが多くあったのですが、後期は比較的楽しく心身ともに健康な日々を過ごすことができたと感じています。この10カ月の留学を乗り越えられたのは、留学生を含めスロバキアで出会った人とのつながりを大切にし、学生寮以外にもコミュニティを持てたからだと思います。様々なコミュニティを作り、新たな仲間を得ることも知見を広げる手段の一つであると思うので、自分の興味関心に捉われず、様々な経験を通じて自分の強みを探し、色々な方向へ可能性を増やしていくことが、これからの人生で何に挑戦するにしてもカギになると考えています。

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