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留学プログラム

交換留学

オブダ大学(ハンガリー)

  • 留学期間:2018年9月~2019年6月
  • 学部等:人文社会科学部

こんにちは。2018年の9月よりハンガリーのブダペストにあるオーブダ大学に約1年間、交換留学生として派遣されております、人文社会科学部4年の髙橋です。この記事を書いているのは3月なので、ハンガリーでの生活は既に半年を迎えました。少々長い報告となってしまいましたが、興味のあるところからお読みいただければ幸いです。

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目次

【ハンガリー留学 準備編】
⑴ハンガリーってどこ?
⑵ハンガリーって何語?
⑶そもそもなんでハンガリー?
⑷ハンガリー留学に必要な準備は?

【ハンガリー留学 生活編】
⑴ブダペストってどんな街?
⑵生活で困ることは?

【ハンガリー留学 キャンパスライフ編】
⑴オーブダ大学ってどんな大学?
⑵学生の雰囲気はどんな感じ?
⑶英語はどんな感じ?

【ハンガリー留学でできたこと】
⑴ヨーロッパの国々を旅行する
⑵武道の練習に参加する
⑶違う大学の授業を見学する
⑷日系企業へヒアリングに行く

【終わりに】

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【ハンガリー留学 準備編】
⑴ハンガリーってどこ?
ヨーロッパの大体真ん中らへんにあり、オーストリア、スロバキア、ウクライナ、ルーマニア、セルビア、クロアチア、スロベニアと国境を接しています。面積は北海道と同じくらいで、人口は約980万人と日本の10分の1以下です。このうち約170万人が首都ブダペストに住んでおり、ブダペスト以外の街を訪れると鳥の鳴き声が聞こえるほどに静かなところもあります。また、ブダペストはハンガリーの北側に位置しており、長距離バスに乗って約3時間ほどでオーストリアのウィーンへ旅行することができます。ヨーロッパはLCCが発達しているので日本の新幹線の切符くらいのお値段で飛行機に乗ることも可能です。詳細は【ハンガリー留学でできたこと】でご紹介します。

⑵ハンガリーって何語?
 日本に日本語があるように、ハンガリーにもハンガリー語があります。このハンガリー語が曲者で、日本語に並ぶ難言語とされています。以下の例文をご覧ください。
A: Jó reggelt! (Good morning!) Hogy vagy? (How are you?)
B: Jó vagyok. (I’m good.) Köszönöm! (Thank you!)
字面でみると、英語以上に勉強する気をなくしませんか?かくいう私は日本でハンガリー語のテキストを購入したものの、早々にやる気をなくし、あいさつ程度だけ覚えてハンガリーにやってきました。大学の授業でハンガリー語を受けているので少しずつ分かるようにはなってきましたが、ネイティブのハンガリー語はほとんど聞き取れません。なんならどこで息をしているのかさえ分からないときもあります。そんな難解で帰国後はいつ使うかもわからないハンガリー語ですが、今の自分にとってはその勉強が趣味の一つになっています。というのも、ハンガリー人の方々は少しでもハンガリー語で話しかけると嬉しそうな反応を返してくれるからです(スーパーのレジ係と郵便局員を除く)。知り合ったハンガリー人の学生の中には「ハンガリー語で質問があったらいつでも言ってね」と言ってくれた人もいます。そんな(スーパーのレジ係と郵便局員を除く)人々の優しさが、自分のハンガリー語学習のモチベーションにつながっています。

⑶そもそもなんでハンガリー?
 きっかけは、静岡大学からは誰も派遣されたことがないという言葉の響きとハンガリーという国がどんな国かわからないという好奇心です。皆さん、有名な国に関してはテレビ番組やインターネットを通して多かれ少なかれある程度国民性のイメージをお持ちかもしれません。ドイツ人は几帳面。フランス人は自由人。スペイン人はマイペース、などなど。一方のハンガリー人、まるでイメージがわかない(笑)。もちろん、事前に国の歴史や治安などある程度の情報収集はしましたが、国や人々に対して先入観がないというのは魅力の一つでした。良いイメージばかりもってことを始めると、知らなきゃよかった現実に直面することは少なからずあると思います。ありますよね?(笑)

⑷ハンガリー留学に必要な準備は?
静岡大学からのハンガリー留学は、オーブダ大学とブダペスト工科経済大学の2つの選択肢がありますが、どちらも語学要件があり、TOEFLのスコアが必要になります。実は、自分の元々の第一希望はブダペスト工科経済大学だったんですが、なんやかんや英語の勉強を後回しにしていた私はTOEFLのスコアを上げるのに大苦戦。三次募集の締め切りギリギリでオーブダ大学の語学要件を達成し、面接に合格させてもらえた結果、今に至ります。はっきり言ってテストのための英語の勉強はしんどいし退屈です。でも、ここで覚えたボキャブラリーは思わぬところで役に立ったりしますし、スコアを達成していても授業についていくのは実際問題大変です。もちろん試験代は安くありませんし、だいぶ無駄にした感はありますが、語学要件があることで、ある程度の英語力は準備することができます。
また、ビザの申請も早め早めに取り組むようにしてください。大使館にビザ申請の予約を早めに取らないとビザの発行が出国までに間に合わなかったという事態もあり得ます。日本で申請を終えても、現地到着後移民局に行って4時間前後列に並ばなければいけないのですが、もし申請そのものをハンガリーですることになった場合、もっと面倒なことになると思います。何事も準備は早めを心がけてください。参考までに、私は交換留学に必須な危機管理サービスのOSSMAの登録を忘れていたことを渡航前日に気付き結構慌てました。
そして住居についてですが、オーブダ大学の大学生寮はフルタイムの留学生が優先なので、私たちのような短期留学のErasmusの学生は自分で住む場所を探さなければなりません。大学の留学生向けHPでは「参考になるサイトはこんな感じだから、参考にしてね!立地とか家賃とか詐欺だったりすることもあるから実際に行ってみてから契約するのをお勧めするよ!」といった内容のありがたい助言をいただけます。無茶言うな。
結局、自分が住むことに決めたのはShantee Houseという名前のホステル。日本語のHPがあったことがきっかけでしたが、何故か日本人の担当者はいませんでした(おそらく、以前泊まった日本人の旅行者が翻訳したのでしょう)。このホステルには短期旅行者や長期旅行者、私のような留学生や社会人の方など色々な人が住んでいます。シャワールームやキッチンは共用で、学生用の8人部屋なんかもありますが、一人大好き人間の自分は大学寮がないのであれば、パーソナルスペースは絶対確保したかったので一人部屋に。家賃は日本円にして月40,000円弱です。ハンガリーの物価でいうとなかなかいいお値段とのことですが、日本人的には良心的。ちなみにオーブダ大学は首都大学東京とも提携しており、その学生の1人は普通にアパートを借りているのですがそれでも月約65,000円。ハンガリーで働いて生活するとなると状況は変わってきますが、日本からの仕送りで生活するのであればお財布に優しい国だと思います。

【ハンガリー留学 生活編】
⑴ブダペストってどんな街?
一国の首都ではありますが、イメージとしては静岡をヨーロッパ風にした感じです。そこそこ都会でそこそこ田舎。街はドナウ川を挟んで静かで落ち着いたブダ側と観光客や商業地区で賑わうペスト側に分かれています。名前を聞いた印象としては何とも言えませんが、静岡同様とても過ごしやすい街です。交通網は地下鉄やトラム、バスが発達していますしほぼ定刻通りに来ます。また、同じ会社が市内交通を経営しているのでチケットは共通。学生証を見せれば1ヶ月定期券を日本円で1500円弱で買うことができます。ちなみに、車の勢いはすごく、青信号でも短い横断歩道だと車が止まってくれないときがあります(大阪大学に留学していたハンガリー人の女の子曰く、大阪と似たような感じだとか)。
魅力的な観光地も多々ありますが、人混み嫌いな私がおすすめしたいのは川沿いのトラムに乗ってプチ景勝ツアーを楽しむこと。ドナウ沿いにそびえ立つ国会議事堂やデザインの異なる橋々は必見です。ハンガリーはヨーロッパの中でも激動の歴史を歩んできた国の一つなので、ちょっとした歴史の知識があるとブダペスト観光は何倍も楽しくなります。その一方で、細い道に目を向けるとゴミやポイ捨てたばこがそれなりに目立つので、清潔感にはちょっと欠けます(苦笑)。
治安についても特に問題はないと思います。渡航前は外務省のHPやインターネットの情報を見てビビりまくっていた私ですが、貴重品は常に携帯することやコートの内ポケットを利用するなどして生活しているところ、現在盗難の被害は被っていません。ただ、日本ではないという不安はあるのでリュックのチャックにはクリップのようなキーホルダーをつけて鍵代わりにしています。カフェで「荷物を見ていてくれませんか」と話しかけられることも少なくありません。
あと、ヨーロッパというと乾燥していて雨が少ない印象があるかもしれませんが、普通に土砂降りもあります。ヨーロッパ雨降らない説を妄信してやって来た私を待ち受けていたのは、約3日間にわたる晴れ時々雷雨でした。びしょ濡れです。折り畳み傘は一つ持っていくことをお勧めします。

⑵生活で困ることは?
コンビニや24時間営業の店はほとんどありませんが、不便を感じることもほとんどないです。強いて言うならお店で何か買ったとき商品そのまま渡されることでしょうか(言えば袋をつけてくれることもありますが、有料のときもあります)。ケーキ屋さんでケーキをテイクアウトするとき、厚紙に乗せたケーキを紙でくるんでそのまま渡された衝撃はいまだに忘れられません。右手にケーキ、左手に食材入りのエコバックでバスに乗る日が来るとは思いませんでした。ただ、基本的に利便性に関しては、日本があまりにも便利すぎるがゆえに感覚が麻痺してしまっているときもあると思います。生活する上でちょっとびっくりすることはありますが困ることはありません。物価に関しては、ハンガリーの通貨(フォリント)に0.4をかければ大体の日本円価格が出ますので、大体のものは日本の半額かそれ以下で手に入ります。
また、大学寮で生活している留学生にも共通することかもしれませんが、私の場合、ホステルで先に生活している学生にちょっとしたアドバイスを聞くこともできました。英語で話しかけるのは緊張しますし、何度も聞き直すのは精神的に辛いものもあるので、渡航当初は質問をしてみるものの、あまり話を続けることができませんでしたが、最近では少しずつ会話が増えています。他の国の人々から日本の印象を聞くのも面白いです。例えば、チュニジア人の男の子と会話したときは面白い質問をたくさんしてくれました。その中でも印象的だったのが「日本人は何でサッカーの試合の後に暴動を起こさないの?」という質問。いやいや、世界じゃサッカーの後に暴動が起きるのがスタンダードなのかという疑問も残りますが、そのときの私は「日本人はサッカーの試合で日本代表が負けても強く責めることはそんなにしないよ。もしかしたらそのプレッシャーの大きさの違いが日本のサッカーがあんまり強くないことの一因かもしれないね」と返答しました(サッカーファンの皆さんすみません)。すると、私の英語が悪かったのでしょう、彼から「そんなことないよ!日本人はヒロシマやナガサキの原爆や戦争から立ち直って経済大国になったじゃないか!」とやたら壮大なスケールの励ましをもらいました。私たちが思っている以上に、海外の人々は日本のことを知っています。日本人はどうですかね?(笑)

【ハンガリー留学 キャンパスライフ編】
⑴オーブダ大学ってどんな大学?
3つある工科大学を統合して今の総合大学になったそうで、キャンパスも3ヶ所に分かれています。ヨーロッパ、アジア、アフリカなどから多数の留学生がセメスターごとにやってくるため、留学生向けの授業が多数開講されています。大学の方で留学生向けのイベントを計画してくれたり、一人ひとりに質問が気軽にできるハンガリー人の学生を紹介してくれたり、留学生支援もありますし、窓口対応も優しいです。
 その一方で、大学のシステムは結構適当です(オーブダ大学に限った話ではないそうですが)。自分の場合、教室変更のメールが来たので、その教室に行ったらなぜか開講されているのはハンガリー語の授業。留学生担当の課を訪ねたものの、伝えたいことを表現するのに苦戦する。伝わったものの、担当者も教室はここで間違いないという。結局教室変更は行われておらず、記念すべき交換留学初授業に遅刻したという苦い経験があります。今期のセメスターでは、交換留学前に申請していた授業が登録されていなかったり、満席だったり、そもそも開講されていなかったりといったこともありました。しかも授業開始2日間に学務情報システムのメンテナンスが入るという恐るべき効率の悪さ。留学生担当も教授も、メールアドレスを教えてくれても返信が全然来ないなんていうのはザラです。こういった点は最初面食らうかもしれませんが、理由を説明すれば大体は対処してくれます。留学生担当の方に「英語でうまく説明できなくてすみません」といったときには「留学生のトラブルを解決するのが私の仕事だからいいのよ」と優しく声をかけてもらいました。「いや、そのトラブルの7割方はあなたが原因なんですけど」なんて思っても言ってはいけません。

⑵授業の雰囲気はどんな感じ?
自分が所属している経営学部の各授業の国籍の割合としては、ハンガリー人50%、ドイツ人30%、その他20%といったところです。また、1つの授業当たりの人数は多くても40前後で、個人の意見を求められることも少なくありません。テストの形式としては筆記試験やグループでのプレゼンテーションなど。今自分が取っている授業の中には英文履歴書の提出や就職フェアへの参加が必要要件となっている授業もあります。
そして、海外の大学というと優秀でモチベーションの高い学生がたくさん集まっている印象を持っている方も多いかと思いますが、それは正直学生によります。オーブダ大学のハンガリー人の学生は皆さんがイメージしているような「海外の学生」が多いですし、他の留学生も積極的かつすぐに意見を言える人が多いです。が、その一方で周りの留学生を見ていると、授業中おしゃべりをしている人もいますし、スマホをいじっている人もいます。日本人は留学先でかたまりやすいという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、国籍が同じなら大体固まります。これは自分が留学において当初持っていた印象とのギャップの一つですが、だからこそ、日本で学生をやっていたときより競争心を掻き立てられるようになりました。学生があまりにも優秀な人が多いとついていく気力も失せてしまうかもしれませんが、「英語がもっと上達すれば対等に議論ができるかもしれない」「この分野は準備次第で追いつけるかもしれない」といったちょっとした希望があるので、自分にとってはありがたい環境です。自分の意見を理路整然と英語で話せる学生や、プレゼンテーションで人を惹きつけるのが上手い学生を目の当たりにすると、自然とモチベーションも上がりますし、予習復習にも力が入ります。

⑶英語はどんな感じ?
まず授業に関しては、全然ついていけませんでしたし今も苦戦しています。専門用語も多いですし、単語一個でもつまずけば3・4文は聞き逃します。意見を求められたとき、アイデアがあっても頭の中で意見を組み立てているうちに周りの学生の頭の回転の方が早く、どんどん次の話題に行ってしまうこともしばしばです。前のセメスターではプレゼンテーションのみが成績要件だったので多少ゆとりがあったのですが、今期は筆記試験があるのでそうもいきません。今私がやっているのは授業を録音し拾える情報は拾うこと、そして事前に資料を配布してくれる授業はわからない単語を事前に調べておくということです。質問があれば教授に聞くという手もあります。学生同士で確認するより手堅いです。教授が何言ってるかわからなかったら学生に聞きますが(笑) 
授業以外では好きな洋画を見たりTEDトークを聞いたりしています。聞き流していたらいつの間にか喋れるように…なんて都合のいい話はありません。気力の続く限りはわからない語彙は発音と一緒に調べます。これは前のセメスターの授業であった、来たる新留学生のために大学とブダペストの案内パンフを作ろうというプロジェクトがきっかけでした。自分のグループにfannyという名前の女の子がいたんですが、顔がわからなかったので違う子に「Who is fanny?」と聞いたんです。するとたった三語なのに怪訝そうな顔で「I don’t know.」と彼女。しばらく同じやり取りを繰り返してやっと通じたんですが、そのとき私は何が悪かったのかわかりませんでした。察しのいい方はお分かりでしょう、おそらく彼女には「Who is f”u”nny? (おかしいやつ誰?)」と聞こえていたんです。そりゃ「I don’t know.」です。たった一つのアルファベットの発音の違いでいとも簡単にコミュニケーションができなくなることを知ってから、発音記号やアクセントも見直すようになりました。
英語で授業を受けていることを除けば英語の勉強に関してやっていることは日本でできることばかりです。でも、留学をすることによって英語を勉強することにどん欲になれる環境に身を置くことができます。

【ハンガリー留学でできたこと】
⑴ヨーロッパの国々を旅行する
ヨーロッパ留学を考えている方の楽しみの一つとして、近隣諸国への旅行があるのではないでしょうか。シェンゲン協定のおかげで、パスポートの携帯は必要であるものの、入国審査なくバスや列車、LCCで旅をすることができます。日本ではあまり飛行機を使う機会はありませんし、最初の方は緊張しましたが、慣れてくると移動手段としては一番快適だと思います。金銭面に関しても、ホステルに泊まったり、早めの予約を心がけたりすれば比較的安く旅行をすることができますよ。現時点で、私がまとまった休暇の度に訪れた国及び都市の数はハンガリーを除いて以下の17ヶ国です。

旅行日数 都市名 国名
1 10月27、28日 ウィーン・その他の都市 オーストリア
2 11月2、3日 プラハ チェコ
3 11月4日 ブラチスラヴァ スロバキア
4 12月17、18日 アムステルダム・ロッテルダム オランダ
5 12月19、20日 ブリュッセル・ブルージュ ベルギー
6 12月21日 ルクセンブルク ルクセンブルク
7 12月22-26日 ケルン・ボン ドイツ
8 1月7日 ワルシャワ ポーランド
9 1月8日 カウナス・ビルニュス リトアニア
10 1月9日 リガ ラトビア
11 1月10日 タリン エストニア
12 1月11-13日 ヘルシンキ・タンペレ フィンランド
13 1月15-19日 レイキャビーク・その他自然観光ツアー アイスランド
14 1月30日 バルセロナ スペイン
15 1月31日、2月1日 リスボン ポルトガル
16 2月2日 リヨン フランス
17 2月3-4日 ジュネーブ・ニヨン スイス

私は街歩きが好きで、美術館や博物館、現地のグルメにはあまり興味がないので、各国での滞在時間は短めです。その国を存分に楽しむならもっとゆとりのあるスケジュールを組んだほうがいいかもしれません。どこの国もそれぞれの魅力があるので、きっと楽しい旅行になるはずです。でも、住めば都というやつでしょうか。その中でもハンガリーのブダペストは不動のお気に入りです。ちなみにハンガリーの国内旅行であれば、日帰りでも行けますし学割もきくのでもっと気軽に旅行ができますよ。のどかでかわいい街がたくさんあるのでこちらもお忘れなく!

⑵武道の練習に参加する
オーブダ大学では体育の授業も履修できるのですが、それがきっかけで現在私は週2回、拳法部の練習に参加させてもらっています。部活というよりは習い事といった感じです(私は免除されていますが、本来お月謝が必要みたいなので)。ハンガリーでは柔道や合気道、剣道といった武道が人気だそうで他にもたくさんの団体があるそうです。私のいる団体はお兄さんやおじさんが多いこともあり、練習は正直ハードです。打撃練習でコンタクトレンズのズレが気になって瞬きしている間に顔面にもう一発食らったり(もちろんグローブありですが)、腹筋強化のために腹に一撃もらったところ呼吸ができなくなったり、筋肉痛で約1週間歩行困難になったりネタには事欠きません。正直あとほんの少しだけ手加減していただけると嬉しいのですが、ハンガリー語が話せない私にも皆さん優しくしてくださるので今も続けています。
また、ここでの練習が自分のハンガリー語学習のモチベーションの2つ目です。私がハンガリーで意思疎通できる言語は英語だけですが、ハンガリー人にとって英語は母語ではありません。練習の参加者の方々の中には英語は話さない方ももちろんいらっしゃいます。そもそも、ハードな練習の中で自分のためにわざわざ英語を話させてしまうのも申し訳ないのですが、少しハンガリー語が分かるようになると、指導を受けているときに「ねぇ、誰か英語話せる人いない?」と言われているのが分かったりします。いたたまれないことこの上なしです。そんなこともあり、最近になって授業以外でもハンガリー語に取り組み始めました。周りはハンガリー語のネイティブスピーカーですし、ちょっと意思疎通ができたときは結構嬉しいです。

⑶違う大学の学生や教授と交流する
私が留学生のアドバンテージだと思うことの一つは、留学先で私たちは少数派であるということです。つまり、日本語のネイティブスピーカーであることに価値が生まれます。私は日本で日本語教師の資格習得の勉強をしていたこともあり、ブダペストの日本語教育にどこかで関われないかなと考えていたのですが、色々と伝手をたどった結果、ELTE大学という大学の日本学科で日本人の教授の授業をほとんど毎週見学させていただくことができました。さらにその教授の伝手で、日本語を勉強されている社会人の方のプライベートレッスンを担当する機会を得ることもできたので、日本語を教える練習ができる一方で、日本語でハンガリーの情報を教えていただくことができ、とても助かっています。また、カーロリ大学という大学では、日本人とハンガリー人との会話サークル(主に日本語で話します)もあるので、そこでハンガリー人の学生と交流を持てたり情報収集をしたりすることもできます。最近の話では、他の経済大学の学生のハンガリー在住の日本人に関する卒業論文のインタビューを受け、その縁で私もハンガリーの教育システムや就職システムについて聞けました。留学先で日本人同士で関わることに抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、自分は別段悪いことだとは思いません。確かに、毎日を英語で過ごしている留学生より英語の伸びは遅いかもしれませんが、日本でできないことをやっているという意味では充実した毎日を送れている気がします。

⑷日系企業へヒアリングに行く
ハンガリーにも日系企業がいくつか進出しており、ハンガリー人の生活と密接な関わりを持っています。私が帰国後すぐの就職を検討していることや、海外でしかできないことを考えた結果、現時点でSUZUKIとブリヂストンにヒアリング及び工場見学を受け入れていただきました。
はじめに、静岡を代表する企業の一つであるSUZUKIでの体験についてご紹介します。SUZUKIはハンガリーではMAGYAR SUZUKIと呼ばれており、これは「ハンガリーのスズキ」を意味します。社会主義体制崩壊後、SUZUKIはすぐにハンガリーでの事業展開を行っており、日本の自動車メーカーで初めて東欧に進出しました。そこからの勢い衰えることなく、現在も国内の乗用車新車登録台数ではトップを誇ります。そんなMAGYAR SUZUKIでお話を伺うために、なんやかんやでSUZUKIの社長にヒアリング依頼の手紙を出し、かつ本社に返事の催促を求める迷惑電話をかけるという暴挙に出た一学生に対し、御親切にも快諾していただき、昨年11月にエステルゴムという街に立っている生産拠点へ訪問することができました。当日は会社の概要を説明していただいたのち、工場を工場長にご案内いただいたり、ハンガリー人の課長さんとハンガリー人の日本語通訳の方にさらに専門的なお話を伺えたりと中身の濃い時間を過ごさせていただきました。更には販売拠点にも足を運ばせていただき大変お世話になっています。
そして、ブリヂストンは言わずと知れた世界最大手のタイヤメーカーで、ヨーロッパの拠点はベルギーのブリュッセルにあります。ハンガリーにも同様に進出しており、工場はブダペストから少し離れたところにあり、工場面積も広く、工場であるにも関わらず比較的機会音が大きくなかったのが印象的でした。また、ヒアリングでは、ブリヂストンの歴史や作業工程や材料の入手ルートの説明だけでなく、ハンガリーで社員を雇う上でのやりがい対策などについてもお話しいただけました。駐在されている日本人の社員の方々が少ない中、最初から最後まで日本人の社員の方が対応してくださり、丁寧にご対応いただけてありがたかったです。
帰国までに、また違う会社へ伺うことが今の目標の一つです。

【終わりに】
 以上、ブダペスト在住歴半年の交換留学生による留学体験記でした。読者の方々にとって、ハンガリーや交換留学に興味を持つきっかけになったら嬉しく思います。


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