静岡大学国際連携推進機構

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留学プログラム

交換留学

イエナ応用科学大学(ドイツ)

  • 留学期間:2014年8月31日~2015年8月31日
  • 学部等:工学研究科

2015年 2月28日

-始めに
 私は機械工M1の学生で,留学はB4の春から希望していました.理由としては,もちろん英語力をつけたいのもありましたが,一番は何かに挑戦してみたかったからです.ちなみに英語能力はそれほど高くありません.もともとドイツを志望していたわけでなく,工学英語を勉強したいという思いと自身の英語能力からドイツにしました.また国際交流課の方々の協力があってドイツのイエナ大学の方と直接話す機会を得ることができ,イエナ大学の研究室に参加させてもらうことになりました.

-ドイツについて
(1)英語の汎用性
 正直なところ半々です.学生や店の店員,大学関係の方にも喋れない方は多くいます.もちろん物,看板,その他すべてがドイツ語です.

(2)ドイツ語について
 初心者にとってかなり難しいです.英語に似ていたり全く違ったりする単語,分離する動詞,そしてなによりも名詞に対して男性,女性,中性に分けられる冠詞.これのやっかいな所は,生物的性別に完全に依存していないということ.例えを挙げるなら,机は男性名詞,少女は中性名詞です.ドイツ人は感覚でわかるようなのですが覚えるしかないです.

(3)生活について(物価,ネット環境,公共交通機関など)
 物価に関しては,日本と比べ肉や乳製品,とくにビールは格段に安く種類も豊富で美味しいです.周りのヨーロッパ先進諸国と比べても物価は比較的安めですが特別安いわけではありません.売り方は豪快でバラ肉とかはほぼなく,欲しければ生肉店で買う感じです.レストランなどパブを除くお店は日曜休業です.もちろん24hの店など滅多にありません.食事はおいしいです.お米も食べられますしわさびソースなどもあります.またレストランなどに行くと必ずと言っていいほど何かしらの形でジャガイモが付いてきます.ファストフードとしてはケバブが有名3ユーロくらいで手軽に食べられお腹はいっぱいです.ネット環境に関してはFree-Wi-Fiなどはあまりなく,普通のネットも遅いです.ただヨーロッパ国内の大学共通Wi-Fiがありとても重宝します.公共交通機関は発達しており,トラム,バス,大都市に行けばSバーン,Uバーンなどの地下鉄のようなものが存在します.チケットの買い方も様々で工夫すれば安く移動することができます.ただ,大学に入学と同時にトスカという学生証が発行され,これによって一部を除いて州内の電車,バスは無料で乗ることができます.また,このカードによってメンザという学食で安く食べることができ,お金もチャージできます.天候に関しては比較的過ごしやすくいですが,ただ冬には氷点下は当たり前になります.ただ建物の中の暖房設備はしっかりしており,室内では半袖もよく見かけます.日照時間は,夏は5-20時,逆に冬は8-17時とはっきりしています.もちろんサマータイムが適用されます.

(4)イエナについて
 Thüringen州はドイツの中東部に位置し,州都はエアフルト,ヴァイマールやアイゼナハなどの都市が有名です.イエナはエアフルトから電車で30分のところに位置する小さな町です.
 学生の街イエナは日本人も含め多くの留学生で溢れている街で,ERASMUS団体もよるイベントが盛りだくさんです.例えば,スタムティッシュという各国の人が集まってお酒を飲みながら話すイベントはもちろん,ハロウィン,クリスマス,学期終わりのパーティなど毎週なにかしらイベントがあります.街としては小さいですが,大きなショッピングモール1つと商店街,飲屋街があり活気で溢れています. また,カールツァイスなど有名企業も多々存在します.

-共同生活について
 私を含め多くの学生が共同フラットに住み3-5人で暮らしています.私の家は自分を含め4人(男2女2)で個々の部屋(暖房,棚,机,椅子,クローゼット,ベッド完備)があり,キッチン,トイレ,シャワーは共同です.幸いにもトイレが二つあるので一人がシャワーを浴びていてもトイレに行けますが,ない家もあり苦労している人もいます.掃除は週替わり当番制で,共有物は基本的には気づいた人が買いますが均等になるように時々請求したりされたりします.もちろん冷蔵庫も共有のためたまに自分のものも食べられてしまう事件が起きますがそこは交渉次第です.ただルームメイトのうち2人が英語を全くしゃべれないので最初はとても苦労しました.洗濯は共有の洗濯機を一回1ユーロ(トスカ)支払い使っています.また基本的には室内干しです.キッチンは,オーブンはついていますが電子レンジはついていません.ルールは本当に住人によって多種多様でなかにはそれで喧嘩する方もいるようですが,しっかりコミュニケーションをとれば生活がより楽しくなります.

-入学するまで
(1)カルチャープログラム 
 私は大学の授業が始まる一ヶ月前にドイツにつき大学が用意してくれたコースに参加しました.これはドイツ語を勉強するとともにイエナの街を散策し歴史を学んだり,飲み会やボーリング,BBQをし,他の留学生と仲良くなることができるプログラムで,一ヶ月間とても充実しました.

(2)手続き 
 ドイツ到着後すぐに携帯電話の取得,住民登録,保険,銀行口座の開設,家の本契約,トスカの契約をしなくてはなりません.もちろん全てドイツ語ですが留学生にはチューターというドイツ語が話せる大学生が補助してくれます.ただし,私のチューターは英語が得意ではなく伝えるのにとても苦労しました.保険ですが日本で加入したのですが大学指定の保険があると聞き,入り直しました.後からわかったのですが強制ではなかったようです.また家の手続きですが,もちろん着いた時鍵やベットシーツをもらうことができ住むことはできたのですが,本契約がおわるまでネットがなく,携帯は電話と簡単なメッセージしか送れないものを購入したので,仕方なくポケットルーターを購入しました.今となっては,大学はそこら中にあり家にもネットがあるのでほとんど必要ありません.トスカですが大学が始まる少し前しか発行できなく,洗濯はトスカが必要で他の人から借りなければいけませんでした.

-留学生活について
(1)授業 
 大学ではSciTecという留学生向けのコースに入り,工学の授業を英語で受けています.授業としては座学やパソコンを使った実践的な授業,実験があります.内容は濃く,私の場合ラボワークもあったので,2つくらいが限界でした.とくに実践的な授業や実験では口頭で説明されるため,わからないことが多くあり質問ばかりしていました.座学は日本と違い参加型授業で生徒はわからなかったらすぐに質問します.また,工学英語,つまり専門的な単語が多く授業中これらを調べるのにやっとでその上で理解するのにはかなりの労力が必要です.これとは別にDaFというドイツ語のコースと英語の授業を取っていました.DaFは,レベルによってクラスを分けられ私は一番下のクラスでしたが授業は全てドイツ語,指名されたりするので正直かなりしんどかったです.また英語の授業はSciTecのコース外で生徒はドイツ人で構成されていました.授業自体は全て英語なのですが生徒間のコミュニケーションは時々ドイツ語を使っていたのでこちらもかなり辛い授業でした.しかし個人的に頼んだところ担当先生に添削して頂いたり,わからないとことを教えていただきました.

(2)研究室 
 研究室では主にSEMやXRDや解析に必要なソフトウェアの使い方を勉強しています.サンプルを作ったり実際に画像を抽出して分析したりしました.ただ決まったスケジュールはなく空いた時間は英語やドイツ語の勉強をしています.私は,研究室で勉強しているのですが,そこには大学生はもちろん,企業の方や高校生(特別な高校)も勉強しにきます.またドイツ人はプライベートの時間を大切にするため普段は17時,金曜などには15時に帰る教授もいます.また子供を連れてきたりクリスマスパーティをしたりととても賑やかです.

(3)シュタムティッシュ
 イエナには毎年ドイツ語を勉強するために日本人が多く留学してきます.提携校も多くあります.それと比例するように日本語を学びたい,日本が大好きというドイツ人が多くいます.それよってできたコミュニティが存在しその週1の会合をシュタムティッシュといいます.これは,ビールや飲みながら互いに親睦を深め楽しい時間を一緒に過ごすもので,中には日本語がまったく話せない人,私のようにドイツ語を全く話せない人もいますがとても楽しい会合です.また私はここで日本人も含め多くの方と出会うことができました.とくに決まりはなく行きたい時に行って帰りたい時に帰るとい放任的なシステムですが毎週楽しみにしています.またもちろん勉強にもなります.

(4)タンデム
 タンデムとは2人以上の人で互いに言語を教えあい勉強すること,つまりシュタムティッシュの個人版で,私の場合日本語を教えるかわりにドイツ語を教えてもらい,主な会話は英語で行います.現在タンデムパートナーは3人おり,1人は日本語が達者でよく日本にも来るという社会人の方,1人は日本料理屋でバイト経験があり授業も取っているため簡単なことならわかる学生,そしてもう1人は授業も何も取っていないが来年インターンシップとして日本にくることから勉強はじめた学生です.社会人の方とは忙しいので不定期ですが学生とは週1で行っています.カフェなどで気軽にやるため面白く,また互いに教えあうので効率も良くなにより話す機会が得られるのが大きいです.また勉強と同時に文化の違いや流行などにも触れることができるのでオススメです.パートナーの見つけ方は,たいていの人はシュタムティッシュで見つけるようですが,私のようにERASMUS団体のイベントで見つけることもできます.

(5)スポーツ
 大学にはスポーツクラブが存在し,もちろん留学生も参加できます.私は日本でアルティメットというスポーツをやっており,イエナにチームが存在したため参加させてもらっています.日本とは練習方法,戦術などが違い互いに教えあい,大会にも参加させてもらっています.一緒にスポーツをすることにおいてコミュニケーションは必須なので,自分にとっていい勉強になっています.

-留学で感じた事
 留学をすること,それはもちろんかなりの労力が必要で私も周りの協力なしでは留学することはできませんでした.感謝しています.しかし,他国にきてただ生活すること,それだけのことならすごく簡単であることがわかりました.私は最初の2ヶ月間は積極的に外に出てイベントに参加したり,話しかけたりしました.しかしながら,自分の英語能力のなさ,伸びない実力,ドイツ語の必要性,それらによって失敗を恐れイベントに参加しても黙り込むようになり,何故そんなにだまっているのといわれる始末.それをきっかけにイベントに参加するのをやめました.そこからはただ授業にいき,帰って寝てを繰り返しました.これは日本の生活とほとんど変わりません.日常です.出会った友人たちは違いました.文法も発音もばらばら,でも積極的に話し,輪を広げ,楽しくやっていました.私は自分が失敗をそして相手のことを気にしすぎだと実感しました.何かしようとすることには必ず苦労や失敗がついて回ること.そしてなによりも日常と非日常が逆転することで非日常を楽しむと同時に日常の大切さが実感出来るということを実感しています.

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