静岡大学国際連携推進機構

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留学プログラム

交換留学

アレクサンドル・イワン・クザ大学
(ルーマニア)

  • 留学期間:2019/09~2020/03
  • 学部等:人文社会科学部

 最初に結論を書きます。もしこれを読んでいる方が留学に迷っているなら、自分は留学するべきだと思います。得られるものがとても多いからです。仮に留学が難しくても、海外に行って異文化に沢山触れてみてください。この世界は想像よりも、遙かに広いです。この半年の留学生活を4つの観点から振り返ってみようと思います。

1. ルーマニアに関して
・ルーマニアについて
 ルーマニアってどこ?と皆さん疑問に感じるかと思います。ルーマニアは東欧に属していて黒海西側に面し、ハンガリーやブルガリア、ウクライナなどの国に囲まれています。中世の街並みが感じられる国で、公用語はルーマニア語です。ルーマニア語ってなんでしょう。自分は半年もいたのに、ムルツメスク=ありがとう、くらいしか覚えられませんでしたが、それでも生活はできました。ネットにはルーマニアは治安が悪いなどと書かれているかもしれませんが、自分は治安の悪さを感じたことはなかったです。十分気をつけていれば大丈夫です。通貨はユーロではなく、独自のレイという通貨を使っていて、25倍すれば日本円になります。
・ヤシという街について
 大学は北東のヤシという街にあります。モルドバ共和国の近くで、地図で見るとヨーロッパ、と言ってもだいぶ西欧とは距離があります。冬は寒いですが、ヤシは過ごしていてとても居心地が良く、治安も人々も落ち着いていました。田舎過ぎず都会すぎない雰囲気が、何となく静岡と似ているような気もします。大学があるので若い人が比較的多く、街自体も若者に寛容です。また、学生は半額でトラムやバスに乗車できますし、国内の列車は無料なので、学生向けの優しい国です。
・なぜルーマニアなのか
 こちらに来る前に、なぜルーマニアなのか、何があるのか、意味あるのか、などの質問を多く貰いました。理由が気になる方もいらっしゃるかと思いますので、この場で簡単に返答させてもらいます。理由はシンプルですが、静大から正規での交換留学生が過去数年間いなく、情報がほぼ無かったこと。日本人がいないような環境に一定期間浸かりたかったこと。そして他の人が選ばないような未知の選択をした方が、後々自分に返ってくるものが多いはずだという確信があったので、クザ大学への留学を決めました。この選択は正解だし非常に意味があるものだと、今は自信を持って言えます。

2. 実際の留学生活に関して
・授業について
 自分はLettersという学部に所属していました。基本的に留学生は正規の学生と同じ授業を取ります。試験は筆記かレポートです。少人数で10人、大人数で80人程度の授業人数です。授業体系や試験は日本とあまり変わらないですが、学生の授業への積極的な参加はこちらの方が多いです。学生が意見を教授にぶつけて、授業が更に活性化します。授業は1コマ2時間です。2時間ぶっ通しの英語の授業は、時に長く大変さも感じます。ですが、時間が経つにつれて、形態に慣れてやりがいも同時に感じられました。
・実際の生活
 大学の寮に住んでいて、ルームメイト2人と生活をしていました。部屋にはベッド、冷蔵庫、机、ロッカー、トイレとシャワーがあり、階に1つキッチンがあります。寮は綺麗ですし、特に不自由もなく過ごせました。ヤシは物価が安いので、自炊をすると生活費は1か月2万5千円~3万円程度で済みました。小さなスーパーも、大きなショッピングモールもあるので、基本的に物は揃います。日本食は少し売ってはいますが、日本食レストラン等は特にありません。半年程日本食を食べていなかったので、愛国心は薄れていました。ヤシにいる日本人ですが、前期は浜松キャンパスから、エラスムスで1人先輩が留学をしていました。ですが、後期は自分1人だけでした。人生で日本人と会わない時期をつくりたい方にはお勧めの地です。
・旅行の充実
 ルーマニアだけでなく、ヨーロッパへの留学の利点の1つとして、他国への旅行が挙げられると思います。休暇等を上手く利用し16か国ほど訪れました。色々な国や街へと実際に訪れ、素敵な景色や人々に沢山出逢うことで、心がとても豊かになりました。また、旅先での異文化体験はとても貴重です。良いことも悪いことも全てが自分の考えや世界を更に広げてくれます。日本とはまるで違う世界を、実際に自分の目で見て肌で感じることができました。

3. 留学全般に関して
・語学力
 よく英語は日本でも勉強できると言います。自分はこれに賛成ですし、していた自学習は日本でもできることが多いです。ですが日本語の通じないこの環境では、英語を実際に使えないと話になりません。英語に対してよりストイックに、真摯に向き合うことが自然とできます。ですので、この留学でも語学力を伸ばすことは可能です。この環境は語学への意識を前向きに変える力があります。もちろんただ留学するだけでは伸びませんし、そこで努力を積み重ねることが何より大切であると、身に染みて感じました。公用語はルーマニア語なのに英語が学べるの?という疑問を持つ方もいるかと思います。ですが、授業を共に受けるルーマニア人、寮での友達やルームメイトなど、実際に関わる多くの人が流暢に英語を話します。とても恵まれた環境でした。ただネイティブスピーカーはいませんので、ネイティブの英語やその環境に関心がある方には、ヨーロッパは向かないのかもしれません。しかし、みんながそれぞれの訛りの混じった英語を話します。アクセントやクセ、よく使う英語表現も人それぞれなので、とても面白く日々勉強になりました。
・交換留学について
 交換留学では現地の授業を受けて、その学びを卒論や今後の大学生活に活かすことができます。ですので、語学留学で純粋に語学そのものを学ぶというより、専門科目を他言語で違う角度から学び、その後に活かすことが、交換留学の趣旨の1つであると思います。そしてその副産物として語学力がつく、というイメージを自分は持っています。もし交換留学を実際に検討している方は、こちらも頭に入れて考えてみてください。また、どこの国や大学でも専門科目の授業は取れると思いますし、どこでも英語は学べます。場所も大切ですが、そこで実際にどのように過ごすか、の方が大切だと思います。どこに行っても良いことも大変なこともそれぞれあるでしょうし、逆にどこの場所でも、そこでしかできない貴重な体験ができるはずです。留学を迷っている方は是非、一歩踏み出して挑戦してみてください。
・その他
 ヨーロッパは日本と距離が離れていますが、その分日本を俯瞰して外から見ることができます。現在でも、コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。ルーマニアの感染者もあっという間に増加していましたし、あの状況のヨーロッパにいて感じられたことは、とても貴重でした。また、以前ではオーストラリアの山火事やアメリカとイランの対立もありました。世界の出来事への関心がより高まると同時に、日本の政治や社会を客観視して考える力が自然とつくと思います。自国を外から見て物事を捉えることに、何か意味がある気がします。留学中は、こういった物事だけでなく、自分自身と向き合い思考する時間がより増えて、自分の中の芯や軸がより強固になりました。

4. 感想
 留学期間では、様々な事が起きました。時に大変さも感じましたが、どの経験もこれからの人生の糧になると分かっていたので、自分の身に起こる全てのことがとても貴重な勉強でした。また、こうして振り返っても、本当にあっという間でした。半年間の日々に後悔はありませんが、今の自分自身に満足もしていません。本音はあのタイミングで日本へ帰りたくなかったですし、もう少し長く滞在して、もっと沢山吸収したかったです。しかし人生には時に、自分の思い描く通りにはいかないこともあります。気持ちの切り替えと受け入れも既にできています。そして留学というものは、留学が終わった後の過ごし方の方が大事ではないか、とも思いました。現在は休学中ですが、この生活の中でも、周りへの感謝は忘れずに、自分のやるべきことを自分のペースで日々コツコツ積み重ねることができています。留学中に感じたこと、悔しさを絶対に忘れずに、日々に活かしてこれからの大学生活を築いていきたいです。

終わりに
 拙い体験記になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。読んでくれた方が、留学やヨーロッパへの興味が少しでも高まること。また、特に留学等は考えてないけれど、何となく何か頑張ろうかな、と多くの方が思っていただけたら、とても嬉しく思います。自分も日々頑張ります。

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