静岡大学国際連携推進機構

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留学プログラム

交換留学

浙江大学(中国)

  • 留学期間:2024年9月〜2025年6月
  • 学部等:人文社会科学部経済学科

【授業】
私は浙江大学の語学プログラム「中国语言与文化(Chinese Language and Culture)」に参加しました。このプログラムには、18歳から60歳ほどまでの、世界中からさまざまなバックグラウンドを持った人々が参加しており、多様な国籍・年齢層で構成されています。多くの参加者が母国語と英語を話せる前提で、第三言語として中国語を学びに来ているため、日常のコミュニケーションは英語が中心になります。ただし、上級クラスでは中国語での会話が自然に行われることもあります。クラスは語学レベルに応じて1班から7班に分かれており、7班が最も上級のクラスです。私は出国前に受けたオンライン面接を経て、2班からスタートすることになりました。
2班の授業は、精读(grammar)・口语(speaking)・听力(listening)の3科目で構成され、授業はすべて90分。週に精读5回、口语2回、听力2回行われます。1学期目は9月中旬から翌年1月上旬までで、中間テストと期末テストが実施されました。授業は主に中国語で行われ、必要に応じて英語を補助的に使うスタイルでした。
留学当初は、先生が話す言葉のうち理解できるのはごくわずかで、授業の内容はほとんど理解できませんでした。私は大学の第二外国語で中国語を少し学んだ程度で、出発前に独学で1か月ほど勉強しただけだったため、準備不足を痛感しました。
しかし、授業中に繰り返し使われる単語に気づいてそれらを優先的に覚え、授業後も自主学習を重ねるうちに、1か月ほどで徐々に授業内容が理解できるようになってきました。この頃から外国語を聞くことに対する抵抗感が減り、「耳に詰まっていた耳栓が取れた」ような感覚を覚えました。
その後、中間テストでは精读97点、口语93点、听力94点を獲得し、自信と学習意欲が大きく高まりました。期末テストでも好成績を収め、最終的な期末総評では全科目90点以上という成果を得ることができました。この結果を受けて、担当の先生から「飛び級試験を受けてみないか」と声をかけていただき、試験に合格したことで、2学期目からは4班で学習することになりました。
4班の授業は精读(grammar)・口语(speaking)・阅读(reading)・写作(writing)の4科目で構成され、听力は無くなります。これは、4班以上ではリスニング力がある程度あると見なされるためです。週の授業スケジュールは、精读4回、口语2回、阅读2回、写作1回で、どれも90分授業です。阅读や写作といった「読み・書き」は、日本人のように漢字に慣れている学習者にとっては比較的簡単ですが、非漢字圏の学生にとっては非常に難易度の高いスキルです。私にとっても、4班の授業内容は難易度が高く、特に日常会話を中国語で行うことが求められる環境に初めは苦労しましたが、仲間と日々学び合う中で確実に語学力が向上していくのを実感しました。最終的に、期末総評では、精读90点、口语96点、阅读90点、写作89点という満足のいく結果を修めることができました。
留学開始時の私は、中国語がほとんど話せず、タクシーでぼったくられても何も言えず、謝罪の言葉すら翻訳アプリで調べなければならないほどのレベルでした。しかし、10か月間、毎日3時間の中国語授業を受け、多くの留学生と積極的にコミュニケーションをとる中で語学力は飛躍的に向上し、帰国時の飛行機内では、中国人の方と自然に日常会話ができるほどに成長しました。
今回の留学を通じて、「語学力を本当に伸ばすには、現地に身を置いて学ぶことが最も効果的である」と確信しました。初めは何も分からなくても、環境に身を委ねることで徐々に適応できるようになります。だからこそ、少しでも興味があれば、海外留学に思い切ってチャレンジしてみることが大切だと考えるようになりました。

【普段受講する教室及び4-1班クラスメートとの集合写真】

【住居】
浙江大学に留学する多くの学生は、大学構内にある学生寮で生活を始めます。寮には「1人部屋」と「2人部屋」の2種類があり、それぞれに異なる特徴があります。
 1人部屋は、10ヶ月で約54万円の費用がかかります。水道代は無料ですが、電気代は別途必要です。各フロアには電気残量を確認できるモニターが設置されており、残量が少なくなると、1回につき2,000円分の電気をチャージする仕組みです。私は冷暖房を適度に使用していましたが、10ヶ月間で3回(計約6,000円)のチャージしか必要なく、月あたりの電気代は約600円と、日本と比べても非常に経済的でした。また、1人部屋の寮は授業が行われる教室までの距離が近いのも大きなメリットです。初級〜中級クラスの教室までは徒歩約5分、上級クラスの場合は寮内にある教室で授業が行われることもあります。さらに、寮の2階には共有スペースがあり、学生同士の交流が活発で、活気のある雰囲気も魅力です。
 2人部屋は、10ヶ月で約27万円と費用を抑えられる点が魅力です。インターネットで予約する際にルームメイトの情報を確認でき、海外の学生と共同生活を通して異文化交流を深めたい人に適しています。ただし、この寮は規模が小さめで、教室までは徒歩で約20分かかるため、通学にやや不便さを感じる場合もあります。主に中国政府奨学金を受給している学生が多く入居しているのも特徴です。
 いずれの寮にも洗濯機と乾燥機が設置されており、洗濯機は1回50円、乾燥機は1回160円ほどで利用できます。各部屋にはクローゼットと大きめの勉強机が備え付けられており、学習や生活に必要な環境が整っています。バスルームはシャワーとトイレが一体となったユニット式で、シャワーは固定式が基本ですが、多くの学生が使いやすさを求めてポータブル型のシャワーヘッドに付け替えて利用しています。
 生活に慣れてくると、一部の留学生はより自由な生活環境や広いスペースを求めて、大学の外にあるアパートなどへ引っ越すこともあります。学外での生活には家賃や契約の手続き、生活費の管理など自己責任が伴いますが、より現地の文化や暮らしに密着した経験ができるという魅力もあります。
 全体として、浙江大学の学生寮は安全かつ快適で、生活に不便を感じることはほとんどありません。個人的には費用はやや高くなるものの、教室へのアクセスの良さや学生同士の交流のしやすさから、1人部屋をおすすめします。ただし、2人部屋には費用面でのメリットや異文化交流の機会があるなど、それぞれの目的やスタイルに合わせた選択ができる環境が整っていると感じました。

【浙江大学1人部屋寮の外観】【浙江大学1人部屋寮のエントランス】【浙江大学1人部屋の内装】

【食事】
中国の食費は非常に安く、大学内の学生食堂で食事をすれば、かなり格安に抑えることができます。私の通っていた大学には食堂が10ヶ所近くあり、選択肢も豊富です。食べるものにもよりますが、1食あたり約300〜400円(人民元で20元前後)でお腹いっぱい食べることができ、非常にコストパフォーマンスが高いと感じました。
ただし、基本的にどの料理も油で揚げたり炒めたりといった調理法が多く、全体的に油っぽい料理が中心です。そのため、長く滞在しているとヘルシーな食べ物や和食が恋しくなることもありました。
一方で、大学の外に出ると杭州市内には多くのレストランがあり、浙江料理をはじめとする中国各地の郷土料理を楽しむことができます。浙江料理は、素材の味を活かしたさっぱりとした上品な味わいが特徴で、甘味や酸味を活かした料理が多く、辛い料理は比較的少ない印象を受けました。中でも、西湖の淡水魚を甘酸っぱいタレで煮た「西湖醋魚」や、豚の角煮として知られる「東坡肉」は非常に有名で、現地でも人気の高い一品です。
また、日本の外食チェーンも多く進出しており、学校周辺にも「食其家(すき家)」「萨莉亚(サイゼリヤ)」「滨寿司(はま寿司)」などがありました。日本食が恋しくなった時には、こうした店で日本の味を楽しむことができ、日本のフードチェーンが中国や世界でも広く親しまれていることを実感しました。特に寿司は多くの国や地域の人々に愛されており、国境を越えた「食文化の共有」を体感することができました。

  

【学校の食堂 350円程度】   【浙江料理レストラン 绿茶】  【人気の火锅店 海底捞】 

【杭州市内にある香港料理レストラン】 【杭州市内にある四川料理レストラン】

【気候】
中国浙江省の気候は、私の出身地である静岡県と比較的似ており、四季がはっきりしている点が共通しています。春は温暖で過ごしやすく、桜のような花々が咲き、街全体が明るく華やかな雰囲気に包まれます。秋はカラッとした空気と穏やかな気候が特徴で、勉強や活動に集中しやすい季節です。
一方で、夏は非常に蒸し暑く、気温が40℃を超える日もあり、外に出るだけで汗が噴き出すような厳しい暑さが続きます。湿度も高く、建物内外の温度差によって体調管理にも気を配る必要がありました。冬は地域によっては雪が降ることもあり、特に内陸や山間部では氷点下になる日もあります。私が滞在していた杭州では、冷たい雨や風が体にこたえる寒さを感じさせ、日本の冬とはまた違う厳しさがありました。
また、梅雨や台風など天候の変化が激しい時期もあり、急な大雨や強風に備えた生活が求められました。

【文化の違い】
中国と日本では奥の文化の違いが見られますが、日本では電車やバスの中での通話を控えるのがマナーとされていますが、中国では多くの人が公共交通機関内で普通に電話をしており、最初は戸惑いました。加えて、夕方になると公園に大勢の人が集まり、大音量の音楽に合わせて集団でダンスをする風景も非常に印象的でした。日本では公共の場で目立つ行動を避ける傾向があるため、その開放的な空気には驚かされると同時に、羨ましさも感じました。また、人々の自己主張の強さにも文化の違いを感じました。中国では、自分の意見や要求をはっきりと伝えることが当たり前で、遠慮や曖昧さはあまり好まれないように思います。その一方で、他人の私的なことにはあまり関心を示さない人が多く、「自分は自分、他人は他人」という考えが根付いているように感じました。日本のように相手の気持ちを察し、空気を読む文化とは対照的です。さらに、食文化や衛生観念の違いも強く印象に残りました。食事中の音の立て方や、レストランでのサービススタイル、さらにはトイレ事情や行列の概念など、細かい点で日々の習慣の違いを体感しました。また、支払い方法にも違いがあり、中国では現金よりもスマートフォンによるQRコード決済が主流で、キャッシュレス化が日本よりも進んでいると感じました。
これらの文化の違いを実際に体験することで、自分の常識が必ずしも「世界の常識」ではないことに気づかされました。そして、多様な価値観を尊重し、柔軟な考え方を持つことの大切さを実感しました。このような異文化体験は、自分自身の視野を広げる貴重な学びとなりました。

【現地での生活環境・街並み等】
浙江省の省都である杭州市は、「中国で最も美しい都市の一つ」として知られており、自然の豊かさと都市の利便性が調和した街です。西湖を中心に緑豊かな風景が広がる一方で、ショッピングモールや高層ビルなどの都市機能も充実しており、生活のしやすさを強く感じました。
生活面では、モバイル決済(支付宝・微信支付)の普及やシェアサイクル、地下鉄の整備など、スマートシティとしてのインフラが非常に発達しており、日常の移動や買い物がスムーズです。市内であればバスは40円でどこへでも行けて、地下鉄も40〜160円あれば1時間圏内の場所へ移動することができます。またタクシーも安いため私はよく移動にタクシーを利用していました。少し遠い場所へ移動するときは「高铁」日本でいうところの新幹線を利用して移動します。杭州市から上海までは1,500円程度1時間で移動することができます。
さらに、夜でも街灯が明るく、人通りも多いため、治安面でも安心して暮らすことができました。
杭州はまた、中国の銘茶「龍井茶(ロンジン茶)」の産地としても有名です。市内中心部から少し離れた龍井村には美しい茶畑が広がり、私は実際に訪れて、茶摘みの様子やお茶の淹れ方を体験しました。緑に囲まれた穏やかな環境の中で味わう新鮮な龍井茶は格別で、自然と伝統文化が日常生活に根付いていることを実感しました。
また、杭州の歴史や文化を身近に感じられる場所として「河坊街(He Fang Jie)」があります。ここは伝統的な建築様式が残る古い商店街で、歩くだけでまるでタイムスリップしたかのような感覚になります。お茶や漢方、伝統菓子などの専門店が軒を連ねており、散策するだけでも楽しく、観光客だけでなく地元の人々にも親しまれています。特に夕方から夜にかけては提灯の明かりが灯り、中国らしい雰囲気を一層感じることができるエリアです。
このように杭州では、西湖の風景や茶畑の自然、河坊街の歴史ある街並みなど、日常の中に中国の伝統文化を感じられる場面が多く、非常に豊かな生活体験ができました。

【西湖の様子】 【龙井村の茶畑の様子】 【伝統的な建築様式が残る古い商店街である河 坊街の様子】

【杭州市内にある音楽広場の様子】【杭州东にある高铁站の様子】【杭州市の中心地龙翔桥駅前の様子】

【杭州市の中心地龙翔桥駅前の夜市の様子】

【今後の課題】
私はこの留学を通して、中国語の語学力を大きく向上させることができました。しかし、その力は主に「勉強のための言語運用」にとどまっており、実際の生活や人とのコミュニケーションにおける“実践的な語学力”とは少し異なるものであったと感じています。
やはり言語というものは、単に知識として身につけるだけでなく、「人と心を通わせるための道具」であるべきだと思います。今後は、相手や場面にふさわしい表現やニュアンスを的確に使い分けながら、自分の考えや想いをしっかりと伝えられるよう、実践的な語学力をさらに高めていきたいと考えています。
そして、世界中の友人たちとの対話を通じて多様な価値観や考え方を吸収し、それを自分自身の人生や将来の選択に活かしていきたいと思っています。

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