留学期間 :2023年8月から2024年6月
学 部 等 :情報学部
【授業】
授業は、全て自分で選ぶことができ、私は、英語で受ける授業とフランス語を学ぶ授業を選びました。学期が始まる前には留学生用に1か月ほどフランス語を勉強する授業を設けられており、それぞれの学生のレベルに合わせて分けてくれるので、フランス語に自信がない人でも安心して受講できます。また、フランスの学生の英語力が想像以上に高く驚きました。フランス人は英語が苦手だという話を聞いたこともありますが、私が留学したトロワ工科大学では、全体的に英語ができる学生が多いと感じました。アクセントが強く、最初は非常に聞き取りづらかったです。授業の受け方にも日本との違いがありました。学生は授業に対して積極的で、先生と会話しながら学ぶという感覚が強く、日本よりも先生と学生の距離が近いと感じました。プレゼンテーションを行う機会もあり、最初は緊張しましたが次第に慣れてきました。この経験を通じて、自分の意見を積極的に表現することの重要性を学びました。
写真1 授業の様子 写真2 大学
【住居】
私は大学の隣の寮で生活していました。寮の申請が遅かったため、1人部屋しか空いておらず、1人で住んでいました。入居して最初の1週間ほどお湯とIHが使えず、夜は水風呂で、食事は加熱しなくても食べられるスーパーの食品で凌いでいました。また、電子レンジや掃除機などは自分でそろえる必要がありました。早めに寮に申し込めばよかったと後悔しましたが、その後は特に問題なく過ごすことができました。洗濯機は大学の近くにあり、それを週に1回ほど利用していました。
【食事】
大学にカフェテリアがあり、学生に優しい価格の3.5ユーロで食事ができました。学生カードをスキャンして支払う形式で、水も無料で提供されていました。カフェテリア以外では、友達と一緒に料理をすることが多く、日本料理やフランス料理を一緒に作りました。ヨーロッパでは日本よりヘビーな食事が多いと感じましたが、私はヘビーな食事が好きだったので特に問題ありませんでした。フランス人は食事の順序に重きを置いており、アペタイザー、主食、デザートという順番を守っていました。アペタイザーではチーズやスナックをワインと一緒に楽しみました。日本でお菓子を食べる時にしょっぱいものと甘いものを同時に用意することはよくありますが、それはフランス人にとっては変なようです。しょっぱいものはアペタイザーで、甘いものはスイーツときっちり分けているようでした。夕食の時間も遅く、レストランは基本的に7時から営業し、フランス人と食事をする際は、8時頃が一般的でした。食文化の違いを通じて、フランス人の食に対するこだわりを学びました。
写真3 学食 写真4 フランス料理 ラクレット
【気候】
日本より過ごしやすい気候でした。夏は暑い日もありましたが、湿気が少なく、夜は涼しいため、快適でした。年間を通じて日の入りが遅く、特に夏は、夜9時頃まで明るかったです。子供が夜の8時でも外にいる光景に驚きました。一日中の中で気温が変わりやすいため、みんな涼しい服装と羽織を持ち歩いていました。曇りや雨が多く、天候が変わりやすかったです。また、雨が降った時も、傘を使わずに、フードで凌いでいました。秋から冬にかけては雨が多くなりました。雪は数日間だけパラパラと降るくらいでした。
写真5 雪の様子
【文化の違い】
文化の違いが非常に顕著でした。特にコミュニケーションの違いです。日本では相手に気を使い、謙虚な態度が重んじ、間接的な表現や集団の調和が重要視されますが、フランスでは自己主張がはっきりとしており、意見や感情を明確に伝えます。フランスと日本でのコミュニケーションの文化が全く異なるため、難しさを感じました。また、会話の内容も日本ではしないような国同士の歴史的背景に関するジョークが多く、それぞれの国の人柄や歴史について勉強する機会になり、非常に興味深かったです。公共の場での振る舞いにも違いがありました。フランスでは公共の場での会話や電話が活発で、電車に乗る際も、順番に並ばないなど日本とは異なる秩序が見られました。また、世代にかかわらずみんな自由に生きている印象を受けました。どの年代の方も周りを気にせず、楽しんでいる様子でした。フランス人は仕事以外のプライベートの時間を大切にしており、プライベートに仕事は持ち込まないで過ごしています。そのため、急ぎで連絡が必要な時でも全く返ってこないことがあり、どんな手続きでも余裕をもって進めることをお勧めします。
【現地での生活環境・街並み等】
街並みは日本とは全く異なり、どこにいても美しい景色に見惚れました。特にパリには歴史的な建造物や美術館があり、訪れるたびに楽しむことができました。日曜日は全体的に静かでお店は基本的にどこも閉まっており、街を歩いても誰もいないことが多かったです。それも静かなフランスの街並みを楽しむことができました。フランスのごみの分別は、日本よりも適当で、日本のごみの分別がいかに丁寧かを実感しました。昼休みが長い傾向にあり、大学や会社の昼休みは基本的に2時間あります。食事中の会話を楽しむのがフランスらしくて良いと感じました。また、私が住んでいたトロワは静かで広々とした田舎町で、パリとはまた違った落ち着いた雰囲気がありました。公共交通機関はよく遅れることがあり、そのため耐久性が求められます。電車は日本のようにチケットを改札機に通してからホームに入るのではなく、電車内で車掌がチケットの確認に来ます。時には確認が行われないこともあります。バスでは、降車時に運転手の前で料金を支払うのではなく、乗車時に乗客が自分でバス内の機械にチケットをスキャンするか、アプリで乗車ボタンを押す仕組みになっています。乗車後、一定時間内は乗り放題となる形です。チケットの確認はあまり頻繁に行われませんが、時折、検札員がバスに乗り込んで確認することもあります。こうした少し適当なところがあるシステムや運用方法にフランスらしさを感じました。
写真6 クリスマスマーケット 写真7 トロワの街並み 写真8 エッフェル塔
【今後の課題】
今回の留学を通じて、この1年間で築いた関係や学びは、私にとって永遠の価値があると感じています。あらゆることに挑戦し、自分自身の成長を実感できました。留学中の全ての意思決定は自分で行い、挑戦し続けることはとても勇気がいることでした。それが辛いこともありましたが、それでも自分なりに正解を見つけていったと思います。この経験を土台に、さらにレベルアップしていきたいです。また、フランスにいる時に助けてくれた人々が日本に来る時には、私が全力でサポートしたいと考えています。英語やフランス語の学習も続けていきたいです。他国の学生達に日本について聞かれることが多く、自分の国や町についてもっと知りたいと感じました。この経験を通じて視野が広がり、日本という国を客観的に見ることができるようになりました。この能力を活かし、日本でも世界でも活躍できるような人材になれるよう努力していきます。今回の留学が実現できたのは、静岡大学の先生方や家族の支援のおかげです。自分一人では成し遂げられませんでした。この経験ができたことに深く感謝しています。この感謝の気持ちを忘れず、これからも成長を続けていきます。