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交換留学

コメニウス大学(スロバキア)

  • 留学期間:2015年9月~2016年6月
  • 学部等:人文社会科学部 言語文化学科

2016年4月28日

スロバキアに来てから早7カ月が経過しました。この7か月間は過ぎてみればあっという間のようで、それでも今までの人生の中でもとても濃い期間となりました。私にとって今回の留学が初の海外であり、生まれも育ちも静岡の私にとって右も左も分からない異国の地で約1年間過ごすことを決めたのは非常に大きな決断でした。初めは当然不安もありましたが、今ではスロバキアを選んで、そして初めての海外渡航先がスロバキアでよかったと思っています。というのも住んでいる人も含めスロバキアという国が一言では形容しがたい程魅力的な国だからです。
 スロバキア共和国、通称スロバキアは中央ヨーロッパに位置し、西にオーストリアとチェコ、北にポーランド、南にハンガリー、東にウクライナと多数の国に囲まれた内陸国です。首都はブラチスラバで留学先の大学、コメニウス大学もブラチスラバにあります。この国がヨーロッパのちょうど真ん中に位置していることからか、コメニウス大学にはヨーロッパ各国から留学生が来ています。私を含め多くの留学生は寮で生活しており、寮内では英語を基本としながらも様々な言語が飛び交っています。寮自体が非常に大きく4~5階建てのマンションのような大きさの建物が敷地内に建っていて、学生同士も交流も活発です。他学部の生徒とも出会えて、学校以外でも交流を広げることができます。
 この国に来たのは9月のことで、学校が始まる約1週間前のことでした。初めての海外そして寮生活ということにひどく緊張していて、うまくやっていけるか、日本に帰れないという不安から初めの内は眠れない日が続きました。そんな時支えになったのが同じ留学生の日本人とコメニウス大学に通う日本語学科のスロバキア人です。この留学を語学留学と捉えていた私にとっては本末転倒かもしれませんが、日本語が通じる安心感と親身になってくれるスロバキア人生徒の優しさに触れとてもほっとしたことを覚えています。それから日本語学科のスロバキア人とは定期的に連絡をとったり遊びに出かけたりして、さらに彼らの友達を紹介してもらったりと交友を広げることが出来ました。彼らだけに限らず、スロバキア人自体が非常に親切で優しい人ばかりです。バスの切符の買い方が分からず困っていたときには見ず知らずのスロバキア人に助けてもらい、英語が通じない場所では英語とスロバキア語を通訳してもらい、街中の多くの人が親切で、その行為を当然のごとくやっているところに非常に好感を持ちました。スロバキアという国自体は日本に比べたらそれほど文化が発展しているわけではありませんが、それが気にならない程の人の温かみを感じます。
 私の所属している学部は英語教育学部です。静岡大学では人文社会科学部でしたが、それにそうとうする学部がこちらにはなく、一番内容が近いものが英語教育学部でした。教員を目指している人向けの授業も当然ありますが、文学の授業やアカデミックライティングの授業も開講されており、もともと教育学部ではなかった私でも何の不自由もなく勉強が出来ています。他の学部とは違い他の留学生、所謂ERASMUSの学生はほとんどおらず、日本人以外はスロバキア人が基本です。こちらの学生は非常に賢く、他の学部のスロバキア人生徒と比べて英語も上手です。なにより見習わなければいけないところは、ほぼ全員の生徒が確固たる自分の意見を持っているというところです。指名されたときもさることながら、積極的に自分から意見を言っていく姿勢は、初めこそ圧倒されましたが私にはないよい一面だと思いました。所属学部の授業はスロバキア人ばかりでしたが、来た当初から継続して受講していたスロバキア語の授業はヨーロッパ以外の留学生もいて国際色豊かでした。英語でスロバキア語を習うというのに初めは戸惑い、なかなかペースを掴めずにいましたが、クラスメートは皆いい人達で新しい言語を学ぶ楽しさも相まって、楽しく続けることが出来ました。言葉がわかるようになると留学生活がより一層楽しくなってきて、もっとスロバキアのことを知りたい!と思うようになりました。
 私の住んでいるブラチスラバは首都でありながらそれほど大きくない街です。スロバキアの西の端に位置しウィーンにはバス・電車で約1時間、プラハやブダペストにもバスで3~4時間、市内に空港もありLCCが出ているので安価でスペインやイギリスにも行けるのでと旅行するには最適の立地をしています。日本に比べ物価も安いので観光の拠点に適していると私は思っています。スロバキアは東西に広い形をしていて、東の端にはコシツェという第二の都市があり、ブラチスラバからは電車で5時間程です。ここも小さな街ですがとても穏やかで時間がゆっくり流れているかのような錯覚に陥ります。他にもスピシュ城という中世からある荘厳なお城やタトラ山脈という山々があり冬場にはスキーリゾートとして人気があります。名産の食べ物にハルシュキという料理があり、茹でたジャガイモと小麦粉から成るダンプリングに羊のチーズのソースとカリカリに焼いたベーコンを載せたものがあります。クセがある料理ですがチーズ好きには是非食べてほしい1品です。他にはスープが有名で、これら料理も街のレストランにて比較的安価で食べることが出来ます。
 実際にこの国に来てみて、ネットや本からでは得られない貴重な経験を数えきれない程体験しています。スロバキアという国自体日本ではそれほどメジャーではなく、情報を調べようと思っても十分には集めることはできません。事実私も来るまでは基本情報ぐらいしか知らず。ほとんど何も知らない状態にこの国に来ました。しかし今では何の先入観もなくフラットな状態で来たことが良かったのかと思っています。自分の目で見て経験してみなくてはわからないことばかりで驚きの毎日を過ごしています。初めの内は早く帰りたいと思っていたのが嘘のようにこの国に愛着が湧き、もう少しこの国に居たいという気持ちがあります。
 私はこの留学がなければきっと人生でスロバキアに来ることはなかっただろうと思っています。そして留学先がスロバキアで良かったと心から思っていて、ここで出会った人々、受けた刺激、感じたもの全てが私にとってかけがえのないものです。この留学も終盤に差し掛かり残された時間も少なくなりましたが、限られた時間の中で目いっぱい留学を楽しみ、スロバキアの魅力を一つでも多く体感したいです。そしてこの経験を日本に帰った後に今後の生活に還元していきたいです。上述した通り日本ではスロバキアはまだマイナーな国であまり知られていないので、こんなに素敵な国だということを広げて行きたいです。そしてこれから更に留学生が増え日本とスロバキアの交流が深まることを願っています。

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