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留学プログラム

交換留学

コメニウス大学(スロバキア)

  • 留学期間:2015年8月~2016年6月
  • 学部等:人文社会科学部 言語文化学科

2016年2月28日

 スロバキアでの留学生活は、早くも半年が経過。「早く日本に帰りたい」と毎日のように思っていた日々が嘘のように、今では「スロバキアを離れるのが嫌だ」と、すっかりこの国に魅了されています。
 1993年にチェコ共和国と分離し、独立国としての道を歩み始めたスロバキアは、私とほとんど同い年の独立国としての歴史はまだ浅い小さな国です。そのため、多くの日本人は‘スロバキア’という国を知りません。地理的な場所はおろか、スロバキアが未だに‘チェコ・スロバキア共和国’だと思い込み、一つの国として‘スロバキア’という国が存在することを知らない人がほとんどです。留学直前に、スロバキアに行くと伝えた友人に「安全な国なの?」と尋ねられたことを思い出します。情報を集めるために、多くの書店を巡りましたが、スロバキアに関する本は他のヨーロッパ諸国に比べると圧倒的に少なく、とても苦労しました。それだけ日本の間では認知度の低い国ですが、だからこそスロバキアで過ごす毎日が自分にとってはとても新鮮で、貴重なものに感じられるのかもしれません。
 私が住んでいる首都のブラチスラヴァは、オーストリアのウィーンから電車やバスで一時間弱の距離に位置する小さな街です。ヨーロッパのほぼ中心に位置するため、旅行にも行きやすく、私も今までに9つの国を訪れました。日本と同じように四季が存在しますが、夏は湿気がなく、今年の冬は雪もあまり降りませんでした。使われている言語はスラブ語派生のスロバキア語。日本人にとっては学習するのにかなり根気のいる言語ではありますが、音が可愛く、街でスロバキア語を聞くたびに未だに嬉しくなります。若い世代のほとんどの人は英語を話せますが、中年以降の世代には英語は通じません。ユーロ加盟国のため、現地通貨はユーロですが、決して経済は豊かというわけではなく、学生がアルバイトでもらえる時給は3ユーロ(約400円)が一般的。そのため、日本や西ヨーロッパ諸国などと比べると、物価は安いです。独立国としての歴史は浅いため、スロバキア特有の食べ物はあまり多くはありませんが、代表的なものとしては、ブリンゾベハルシュキーという、羊のチーズとじゃがいもから作られるものが挙げられます。また、これは中欧に共通して言えることかもしれませんが、キャベツやにんにく等から出来たスープも絶品です。そして何といっても、スロバキアは本当にお酒が美味しいです。グラス一杯のビールはパブで飲んでも1ユーロ(約140円)ほど。果物からできた蒸留酒も種類が豊富で、スロバキア人の友達との絆を深めてくれる魔法の飲み物でもあります。
 私が通うコメニウス大学は、スロバキアでは一番大きく有名な大学で、ブラチスラヴァの街中にそれぞれの学部棟が散在しています。一つ一つの学部棟はあまり大きくはありませんが、そのため授業もアットホームな雰囲気で受けられるので、大人数で授業を受けるのが得意でない私にとっては有り難いです。大学のシステムが色々と複雑なため、苦労することもありますが、現地の生徒がとても優しいため、ヘルプを求めればいつでも親身になり手を差し伸べてくれます。大学の教授もとても親切な方たちばかりで、授業以外でも廊下ですれ違うたびに「最近調子はどう?何か困っていることはない?」と気にかけてくれるほどです。
 最初は戸惑うことばかりだった寮生活にも慣れました。日本の寮とは違って、男女が同じフロアで生活を共にし、トイレもお風呂も男女共用であるということに抵抗を感じていましたが、今ではまさに「住めば都」状態です。キッチンで偶然会った初対面の人とすぐに友達になるのも、この寮では珍しくありません。部屋自体も小さいですが、ルームメイトがスペイン人とフランス人なので、小さな会話をするだけでも日本とは違う考え方や習慣を発見できるのがとても楽しいです。ジムや体育館、フィットネスクラブもあるので暇な時間を見つけて気軽に運動ができるのもこの寮の素敵なところだと思います。
 留学を始めて半年、私はすっかりスロバキアという国に魅了されています。確かに、他のヨーロッパ諸国に比べると認知度は低く、‘観光’という点からみると人気は低いかもしれません。しかし、‘留学’という点から見たスロバキアは世界一といっても過言ではないと私は思っています。落ち着いた雰囲気の街に、シャイだけど親切で愛らしい気質のスロバキアの人々。日本に帰ったら、私はもっと多くの人に‘スロバキア’という国を知ってもらいたいです。そのためにも、残りの4か月間はスロバキアでしか出来ない貴重なことを今まで以上に経験し、たくさんの土産話を美味しいスロバキアのお酒と共に日本に持って帰ります。

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